中国政府はこのほど、アニメ産業の発展戦略を発表しました。今後5年ないしは10年の間には、アニメ産業が国内総生産の1%を占めるようになるという目標が示されています。この目標を達成すれば、アニメ産業の規模は2、3億元に上り、中国のアニメ産業は急速な発展の時期を迎えるようになると見られています。「スポットライト」は中国アニメ産業の発展状況についてご紹介します。
アニメ産業というのは、アニメや漫画を主な表現形式として、漫画誌やアニメ映画、テレビアニメ番組などの他、アニメキャラクターの服装やおもちゃ、テレビゲームなど関連製品も含んでいます。ここ数年、中国は一連の政策的な措置を講じて、アニメ産業の発展に取り組んでいます。統計によりますと、去年1年間の中国アニメ作品の生産額は、これまで10年間の総額に匹敵し、今年上半期は去年の同じ時期より7割も増えたということです。
『藍猫淘気三千問(いたずらの青猫による3000の質問)』は今、中国で最も人気のあるアニメシリーズ番組です。2歳から8歳ぐらいの子供で、このアニメを知らない子は、ほとんどいないと言われています。『いたずらの青猫による3000の質問』は7年前、CCTV・中央テレビ局で初めて放送され、多くの子供を魅了しました。このアニメの製作会社??北京三辰アニメグループの広報担当、聶金星さんは北京放送のインタビューに次のように答えています。
「今、青猫アニメは6つのシリーズ、合わせて2000話が完成しました。2001年から全国700以上のテレビ局で放送され、8000人以上の観客を魅了しました。テレビのほか、青猫は自分のホームページを設け、毎日およそ45万人がインターネットを通じてこのアニメを楽しんでいます。また、一千万人以上の青猫のファンたちは青猫ホットラインを通じて自分の悩みを訴え、自分では解決できない問題を質問しています」
今、青猫アニメの関連製品は文房具、絵本、おもちゃ、子供服など十数の業種に及び、国際市場にも進出しています。また、青猫の放映権は香港、台湾、アメリカ、韓国など10数もの国と地区に販売されました。
青猫アニメの成功は中国政府のアニメ産業の振興政策と密接に関わっています。向こう5年間、付加価値の高いアニメ産業を発展させることは、政府の経済活動の重要な目標となっています。統計によりますと、現在、中国では20以上の省や市で、アニメ産業が新しい産業と位置づけられ、その発展に力が入れられています。北京、上海、蘇州、広州、深セン、大連などの都市は相次いで優遇政策を打ち出しており、アニメ産業はIC産業やソフトウエア産業と同じような優遇政策を受けています。また、アニメ産業の基地が各地に設立され、200校の大学ではアニメ学科が設けられました。そのほか、アニメ祭、アニメ展覧会、アニメフォーラム、アニメ教室など、アニメに関するイベントが数え切れないほど多くなっています。
北京の西にある石景山区は北京市アニメ産業基地の一つです。アニメ産業の発展について、石景山区発展改革委員会の彭春輝副主任は次のように紹介してくれました。
「石景山区にはおよそ30社のアニメ制作企業があり、アニメや漫画の制作のほか、アニメ関連産業の分野にも取り組んでいます。石景山区はアニメセンターを設けてアニメ企業の招致にも取り組んでいます」
フラッシュ動画のデザインや制作、漫画のデザインや開発に取り組んでいる北京随風デザインスタジオは近く、石景山区に移る予定です。随風デザインスタジオの責任者賈立強さんに伺いました。
「石景山区に移ることは、会社に有利だと思います。ここはアニメ産業の基地なので、政府の優遇政策を受けられますから。また、ほかのアニメ企業との協力や交流も便利になり、発展のチャンスが多くなるでしょう」
目覚しい発展は遂げているものの、全体的に見れば中国のアニメ産業はまだスタートの段階にあり、アニメ産業の先進国に比べると、作品の内容や、人材育成、産業発展の環境などの点で、まだまだ立ち遅れています。この状況を変えるため、中国政府は今後数年間、特別に資金を投入してアニメ産業の発展に取り組む政策を実施します。
孫立軍さんは北京映画大学アニメ学院の院長です。政府のアニメ産業振興政策について、孫さんは「人的資源の育成を重視し、資金投入を拡大し、産業発展の環境を健全化しなければならない」と見ています。また、中国の特色のある、民族性のある作品の創作にもっと力を入れるべきだと主張しています。
「まず、中華民族の独特な文化を生かすべきです。アメリカや日本の真似をすれば、われわれの作品は永遠に二流か三流にしかならない。中国の特色のあるオリジナル作品を打ち出していかなければならないと思います。また、アニメ作品のセールスの仕方も中国の国情に従うべきです」
今、中国では、200校の大学にアニメ学科が設けられました。これはハイレベルな人材の育成を満足するものの、実際にアニメの作成に従事する人材の育成にもっと力を入れなければなりません。また、アニメや漫画作品から生まれたおもちゃや服装、文房具など、関連製品の開発も急ぐ必要があります。(担当:劉叡琳)
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