16日、見学が始まる前に、浙江省政府の外国経済貿易局、商工管理局、環境保護局や農村問題事務室の責任者は、説明会を行い、浙江省の経済貿易、企業の発展状況、環境保護活動や農業の状況について外国人専門家や記者に説明しました。一方、専門家や記者からは、特に経済貿易と民間企業の発展について、質問がだされ、各部門の責任者が答えました。

　まずベトナムの新聞の北京特派員が質問をしました。「一番目の質問は、浙江省は、これから中国から出て世界で投資を行うかどうかというもので、中でも、ASEAN・東南アジア諸国連合諸国、特にベトナムで投資を行うかどうかについて聞きました。また2番目の質問は、中国も、ベトナムも、靴などの軽工業品の輸出に関連して反ダンピング問題で頭を悩ましているが、両国はこれから手を組んで協力する可能性があるかどうかという事でした」

　これについて、浙江省外国経済貿易局の陳如昉副局長は、このように答えました。

　「浙江省の経済は、企業誘致の段階から外国への進出も行う段階に入りました。いま、浙江省では、2194社の企業が外国に進出しており、企業数や企業家の数も全国で最も多い省となっています。外国の進出企業の中で最も多いのが民間企業で、90%を占めています。これらの進出企業の戦略は次の３つが挙げられると思います。第一は、中国以外の発展途上国で、賃金の安い労働力やコストの低い資源を利用すること、例えば、ベトナム、タイなどの国で投資を行うことです。第二は、先進国に行って、研究開発センターを設置します。例えば、多くの企業がドイツで一部の中小企業を買収して研究開発センターを作り、そこで性能のいい新商品を開発して、それを浙江省で大量に生産します。また同時に、ドイツ企業の販売網を利用して世界でもこの商品を販売します。第三の戦略は、一部の国有企業や民間企業が先進国の大手企業を買収することです。こうして、中国の企業は先進国市場に参入するようになったのです。浙江省の民間企業の成長とともに、このような投資の仕方がこれから増えてくるだろうと思います」

　「二番目の質問なんですが、知的所有権や反ダンピング問題に関する貿易摩擦については、浙江省には製造業の企業が多いということと関係があります。2005年、反ダンピング関連案件が40件、その金額は10億ドルのも上りました。これは、ライター、靴やアパレル製造企業の輸出にマイナスの影響を与えました。この状況に直面して、私達は、まず、知的所有権の保護を強化します。企業に対して、知的所有権保護に関する知識を教えることによって、外国からの訴えを減らします。次に、民間企業が自らのブランドを作ることを奨励しています。靴やアパレル製造業といった軽工業から脱却して、技術の要る分野で先進国と競争します。また、提訴された民間企業を組織して、反ダンピング措置に対応します。法律で自らの正当な権利を守ります。去年、反ダンピング案件で、提訴に応じた企業のうちの60%は勝訴しています」

　スペインの新聞ABCの記者は、次のような質問を出しました。浙江省で出稼ぎ労働者はどんな社会保障を受けているのか。これらの労働者の最低賃金はいくらかという内容でした。これについて、浙江省商工管理局の徐志祥副局長は、次のように答えました。

　「浙江省は出稼ぎ労働者の境遇を年々改善しています。労働者に対する社会保障制度では、国内の最前線に立っています。また、全国で、始めて、国有企業や民間企業を含むすべての企業に対して、労働者に基本的な福祉対策をとることを要求しました。最低賃金については、これは地域によって違います、つまり、地域の収入と消費のレベルにかかわり、また、絶えず変わっています。去年の基準を言えば、3つのランクがあり、高い方では月給700元、真ん中のほうは、600元、低いほうは、500元です」

　北京放送スワヒリ語の専門家ファディリさんは、浙江省はアフリカでどんな投資を行っているかという質問をしました。

　これに対して外国経済貿易局の陳如昉副局長は、次のように答えました。

　「アフリカは浙江省にとって重要な海外市場で、例えば、多くの企業が、ナイジェリアに進出しています。アフリカで投資することは市場メカニズムによるもので、つまり利益を上げることができるからです。最初は貿易で、次の段階は現地で投資して生産工場を作りました。これは、欧米諸国が中国に対して行っている輸出割当制度という貿易障壁を避けるためです」

　このほか、フランス、オーストラリア、イギリス、ドイツなどの記者や専門家も浙江省の経済発展や労働者の労働条件などについて浙江省の高官と意見交換を行いました。（文・取材：任春生）