1917年に建設された天津塩基工場は中国で最も古い塩基工場の一つであり、中国経済の発展に大きな役割を果しました。しかし、生産の過程で、廃棄物として、大量の塩基の沈殿物を出しました。これらの沈殿物によって、敷地面積約４平方キロで、体積が3600万立方メートルもある3つの山が形成され、天津市の主な固体廃棄物の汚染源となりました。ここ数年、塘沽地区の経済は急速な発展を遂げました。しかし、この３つの山は都市環境に影響をもたらしたばかりではなく、経済の更なる発展も妨げました。天津市塘沽区塩基の沈殿物処理弁公室の史春鎖副主任は「この塩基の沈殿物の処理をいち早く解決しなければならない問題でした」として、次のように話しました。

　「これら山の東側は港であり、北側は開発区で、南側は住宅地で、西側は塘沽の町です。これらの山が、地区の交通をひどく妨げました。そして、塩基の沈殿物の主な成分は塩化カルシウムで、粉塵汚染がひどく、雨が降れば、アルカリ性の液体が染み出し、周辺の環境に一定の危害をもたらした」と話しました。

　1996年から5年間をかけて、天津市塘沽区政府は大量の人力と物資を投入し、塩基の沈殿物を工事用土砂に変えた上、230万平方メートルの建築用地を作りました。そして、ここの土地に、19万5000平方メートルの住宅地と6万6000平方メートルの学校を建築したほか、全長10キロの道路とインフラ施設を建設し、この地区の環境を効果的に改善しました。

　塩基の沈殿物を整備する中で、天津市塘沽区政府は、土地の開発と土地の整備と結びつけて、優遇政策を実施しました。そして、1平方メートル当たり100元の安い価格で整備されていない塩基の沈殿物の土地を販売し、企業投資の積極性を発揮させました。天津開発区福琳開発有限会社は塩基の沈殿物の山の整備に参加した不動産開発企業の一つです。会社の王樹生副社長は「塩基の沈殿物の主な成分は塩化カルシウムと炭酸カルシウムで、地下水と土壌を破壊します。こうした土地に建物を作るのは容易な事ではありません」と話しました。

　現在、塩基の沈殿物の跡地に建てられた160万平方メートルの物流センターと76万平方メートルの港付属設備も運営し、4万平方メートルの濱海発電所の建設工事も竣工しました。そして、紫雲住宅地第1期工事も終り、第2期工事が進められています。

　紫雲住宅地の周辺にある紫雲公園は、完全に工業の廃棄物で建設された唯一の環境保全型の公園です。この敷地面積３３万平方メートルの公園は塩基の沈殿物で埋められていた土地でした。塘沽区の住民馬躍さんはアマチュアカメラマンで、彼のいくつかの作品は紫雲公園で撮ったのです。馬さんは「始めてここに来た時、多くの堀削機が作業し、樹木も数本しかありませんでした。翌年ここに来た時、草と樹木がたくさん栽られ、青々と茂り、きれいなものです」と話しました。

　この塩基の沈殿物の跡地が有効利用されたほか、塘沽区に、森林公園を作りました。2001年から、5年間の建設を通じて、元のアルカリ地で130平方メートルの人工造林を行ないました。工事が完全に竣工した後、毎年、40万人から60万人の観光客を受け入れることができる見込みです。この森林公園の建設によって、濱海新区の生態環境と大気の質は大いに改善されました。これについて天津市塘沽区建設委員会の瞿連副主任は「現在、ここに、約40万本の樹木が植えられています。毎日、322トン以上の二酸化炭素を吸い込み、230トンぐらいの酸素を放出することが出来ます。日本林業庁の換算方式によれば、1トンの酸素当たり2000元とすれば、この公園は毎日42万元に相当する酸素を放出することが出来ます」と話しました。

　濱海森林公園はまた、異なる機能によって公園の中で、森林野生動物区、文化娯楽区、スポーツ運動区、水上観光区、外国の風景区などを作る計画です。

　経済発展と環境の保護の均衡を保つため、濱海新区は環境保護と汚染処理を行なうと同時に、資源を十分に利用して、経済発展を推進させていく理念を確立しました。