「われわれはまもなくインドに新しい工場を設立する」。4月19日、レノボグループのCOO(最高業務執行責任者)劉軍氏は、レノボグループ研究所の所在地である「北研大厦」で中国の新聞「財経時報」の記者に明らかにしたもので、「レノボはインドに3カ所の集散センターを設立する。今年の第3四半期の9月ごろには、インドで競争相手のサプライチェーンを超えるネットワークを構築できると信じている。中国方式と同じ『ゴールデン・サプライチェーン』がインドで最初に作られる」と述べました。
レノボの関係者によりますと、インドで中国方式と同じ「ゴールデンサプライチェーン」を作ることは、レノボが全世界でサプライチェーンを作り上げるテストの始まりに過ぎない。その後は、日本でも同じようなものを作り上げ、もし順調に行けば、全世界にこの方式を普及させるということです。
効率の高いサプライチェーンは、これまで世界のPC・パソコン業界で大手の企業デル(Dell)がトップの地位を占めた切り札です。
「デルの直接販売方式が中国に入ったばかりの時、中国の企業に大きな衝撃を与えた。しかし一方、われわれの変革をも促した。2001年から2003年までの間、われわれはデルからいろいろな経験を学んだ」と劉軍氏は述べました。
レノボはIBMのPC業務を買収する前、中国で3つもの工場を持ち、それぞれ北京、上海、恵陽にありました。一方のデルは中国ではアモイの工場ひとつだけでした。
これについて、劉軍COOは、「レノボには、倉庫、製造、人材、完成品の配送、管理などの様々な地元企業としての優位性がある。それにデルから学んだサプライチェーン・システムを加えて、レノボはゴールデンサプライチェーンという、中国に一段と適したサプライチェーンシステムを確立したのである」と述べました。
「ゴールデンサプライチェーン」の原則は、1台1台のパソコンが使用者の手に届くまでの経路が最も短く、製造コストが最も低いことを要求しています。
工場から消費者までのサプライチェーンのコストは、レノボの場合わずか1.4%で、一方、デルは3%、ヒューレット・パッカード(HP)は4.5%となっています。
レノボが中国市場で成功したことを疑う人はいません。しかし、IBMのPC業務を買収した後、世界のPC市場を如何に制覇するかについては、各界から疑問を持たれています。そうした中、如何に世界で効率の高いサプライチェーンを確立するかどうかが、今、人々に注目されているのです。
レノボは1年かけて世界に4つのセンターを設立しました。その内訳は、北京は本部で、アメリカのローリーは世界需給計画センター、スコットランドはヨーロッパのサプライチェーン本部、シンガポールはアジア本部です。工場は中国、ハンガリー、チェコ、ブラジル、メキシコなどに分布しています。このような複数の地域に支社を設置する方式により、各地域間の連携の速度は速まることになります。一方、重点地域の重点の国に中国方式のサプライチェーンを作り上げることによって、レノボは市場を制覇しようとしています。
業界筋は、「インドは明らかに良い選択である。この国は中国と多くの共通点がある。インドでの成功はレノボの指導層にさらに多くの自信をもたらすだろう」と分析しています。
レノボがHPやデルとの競争で追いつき追い越せるかどうか、それには世界的なサプライチェーンを速く確立することが鍵となっています。「規模こそが効果と利益を生む」、37歳の劉軍COOは大きなチャレンジに直面しています。
劉軍:1969年4月北京生まれ。1993年清華大学を卒業してからレノボに入り、画期的なインターネットコンピューター「天禧」を中心になって設計しました。レノボのデスクトップパソコン業務を指導して、アジア太平洋市場でトップ、世界でベストテンに入りました。
2005年5月から10月まで、レノボ高級副総裁兼レノボ中国COO。同10月からレノボ高級副総裁兼グループCOO、サプライチェーンの管理と運営を全面的に担当しています。(王玉華/字数1710)
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