3月23日、日本政府は2005年度分の対中円借款の供与額の決定を先送りすることを発表しました。ここ数年、日本国内では対中円借款を問題視する声が絶えません。去年の3月、当時の町村信孝外相と李肇星外相は電話会談の中で、日本は2008年北京オリンピック大会が開催される前に対中円借款を終了することを確認しました。しかし、今年の3月になると、日本外務省はその方針とは違って2005年度分の供与額の決定を一時的に先送りし、いつ決定するかは両国の全体情況によって決めるとの意向を表明しました。
去年、日本政府は、2008年の前に円借款を終了すると表明したばかりであるのに、なぜ今年になって突然供与額の決定を先送りするのでしょうか。これについて、日本の塩崎恭久外務副大臣は、それは小泉首相の靖国神社参拝及び東中国海の石油ガス田開発問題による日中関係悪化の現状を考慮したものだと説明しています。塩崎副大臣は、両国関係を左右する様々な情勢の影響を受け、対中円借款の供与額の決定を一時的に見送りせざるをえないと述べました。日本の新聞「読売新聞」、「産経新聞」などは、「政府のこの措置は、中国に対し、東中国海の石油ガス田などの問題で譲歩させるためだと報道しています。「産経新聞」の報道によりますと、日本の与党と政府内部では中国に対して強硬な姿勢をとるよう要求する声が絶えず高まっています。日本は2008年にならないうちに時間を繰り上げて対中円借款を終了する可能性があるとしています。
日本が中国に対して提供している政府開発援助(ODA)の主要な柱として、対中円借款は1979年から始まりました。2005年3月末までに、その総額は累計で3兆1000億円余りに達しました。この間、円借款は中国の近代化建設を促進するために積極的な役割を果たしました。しかし、円借款の歴史的背景及びそれによって発生した実際の効果から見れば、円借款は両国の友好を象徴するとともに、双方が利益を得ることが出来たと言えます。この点について、1970年代に中日間の外交に携さわったベテラン外交官の肖向前氏は、「当時、戦争賠償を放棄する中国の決定は日本を感動させた。その後大平正芳元首相は自ら中国に使節を派遣して対中援助のことを切り出した。対中円借款は特定の歴史的背景の下で生じたものだと言える」と述べました。
多くの日本の学者も、「日本は隣国として、中国の貧困や経済の遅れを望まない。中国の繁栄と安定は日本の利益に合致する」との見解を示しています。確かに、ここ数年中国の経済が急速に発展した後、長年低迷していた日本経済も中国の需要拡大によって蘇って来ています。従って、円借款は中国経済の発展に対して一定の積極的な役割を果たしたと同時に、日本経済の発展をも促進してきました。
対中円借款は特別な歴史背景を持ち、しかも中日両国の利益に符合しているからこそ、中国側はこれを非常に重視しており、始まりだけでなく終わりも良い終わり方になることを期待しています。しかし、一部の日本人は、次第に発展を遂げる中国に対して冷静になることができなくなり、対中円借款を攻撃しはじめました。そして日本政府もついに去年、2008年には円借款を終了することを提案しました。これに対し、中国側は対等な話合いの原則の上で受け入れを表明しました。ところが今、日本政府はまた円借款に対して問題を持ち出し、それにより中日友好を象徴する対中円借款は、有終の美を飾ることが難しくなっています。
小泉政権のこの理性的とはいえない行為に対して、日本内部でも批判の声があります。公明党の神崎武法代表は23日、「日中の政治関係が困難の局面に直面している情況の下では、あらゆる手段を使って現状を改善すべきである。日中関係の改善を遅らせるようなことをやるべきではない」と述べています。(玉)
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