これを聞いた蔡四は噴出したあと、うなずいた。こうして蔡四は、このお化けと話すのが面白くなり、この様なことを続けたいので、お化けが帰ったあと、町の木工に頼んで庭の隅に木造りの小屋を作らせ、その周りに草木を植えた。家族や屋敷のものがこれを不思議がったが、蔡四は知らん顔。翌日、お化けが来ると蔡四がいう。
「どうだい?王大。私たちの付き合いを続けるため、お前はあの庭の小屋で休まないかい?」
「ええ?蔡さん、どうも庭の隅に小屋が出来てると思ったら、あれはわしのために作ったのかい?」
「そうだ?王大、どうだい?」
「それはありがたい。すまないねえ。さっそく使わしてもらおう」ということになり、この日からお化けは庭の小屋で休むことにした。
こうして半月が過ぎたころ、お化けが蔡四に話を持ちかけた。
「蔡さんよ。ものは相談だが、わしの娘が嫁入りするんだよ」
「ええ?お前には娘がいたのか?」
「ああ。だからあんたの屋敷のいくつかの部屋を数日貸してくれないか?」
これを聞いた蔡四、自分は子供と家内、それに老いた母の五人暮らし。そのほかに何人がの下僕や女中が住んでいるだけで広い屋敷の離れのいくつかの部屋は確かに使っていない。そこで考えて答えた。
「でも、私の家族や屋敷のものには害を与えないでくれよ」
「それはもちろん。あんたとわしの仲だ。そんなことは絶対せん。そうだ、蔡さん、いっそのことわしとあんたが付き合っていることをみんなに教えといたほうがいいよ。そうでないと、余計なことが起きるかもしれないから」
「そうだな。じゃあそうしよう。お前と私のことを家族や屋敷のものに話、お前が使っている間は、誰も離れの部屋に近づかないよういいつけよう」
「そうしてくださいな。ああ、助かった。蔡さん、恩にきるよ」
こうして蔡四は離れの部屋を、数日お化けに貸すことにし、また、自分とお化けとの付き合いを家族や屋敷のものに話した。
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