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こんばんは、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
この時間は、「不思議な石」というお話をご紹介いたしましょう。
むかしむかし、河北の天府に荊雲飛という男がいた。荊雲飛は幼いときから石が好きで、これはと思った石を見つけると、高くても買ってしまう。
ある日、荊雲飛が川で網を張っていると、何か重いものがかかったので引いてみた。するとそれは魚ではなく、縦と横が一尺近くある、山を小さくした盆景のような石だったので、荊雲飛は大喜び、さっそく魚捕りをやめ、それを大事に持ち帰った。そして紫檀の木で囲いを作り、応接間に飾ったところ、曇りの日になると、石のそれぞれ孔から霧のようなものがゆっくり噴出し、それは見事な眺めとなった。こうして荊雲飛、暇があるとそれを眺め楽しんでいた。
で、これを知った地元の豪族が、この石を売ってくれと手下を遣って頼みに来たが、荊雲飛が断ると、なんとほかの手下を呼び、この石を奪わせ帰ってしまった。相手があいてだから、荊雲飛はただ嘆くしかなたった。
ところが、豪族の手下はその石を持って川辺まで来たとき、なんとあわてて石を川に落としたので、豪族は多くの手下を呼んで、川に飛び込んで石を探させた。が、どうしても見つからない。そこで豪族は、石を見つけたものには賞金を出すと書かせた紙を町に張ったが、それから何日たっても石は見つからなかった。
数ヶ月後、荊雲飛は石を探す人がいなくなったのを見て、一人でその川辺にきて嘆いていると、なんと川の水が澄んできて、底に沈んでいるかの石が見えたので、喜んだ荊雲飛は辺りに人がいないので服を脱いで川に飛び込み、その石を拾い上げ、いそいそと帰って、今度は自分の寝る部屋にその石を飾った。
と、ある日、一人の老人が訪ねてきて、かの石を見たいという。
「え?うちにはそんな石はありませんぞ」
「何を申す。あんたは今度は石を応接間ではなく、寝る部屋に飾っただろう」
「え?どうしてそれを?」
「はは、何しろわしに石を見せてなさい」
これに荊雲飛は仕方なく、老人を応接間に通した。すると、寝る部屋においてあるはずの石が、なんと応接間に来ているではないか。これに荊雲飛はびっくりし、黙ってしまった。そこで老人は石をなで「どうですかな、荊さんとやら、うちのものを返してもらいますぞ」という。
これに荊雲飛は慌て、「それは私のもので、あんたに返すなんてとんでもない」と答える。
「なんじゃと?あんたのもの?」
「そ。そうだ」
「それでは、その石があんたのものだという証拠をみせてもらおう」
「証拠?」
「ああ」
これに荊雲飛は、ただ目を白黒させるだけで答えられない。
「どうじゃ、答えられないじゃろう」
「じゃ、ご老人のものだという証拠は?」
「はははは!わしのものだという証拠は、わしはその石にある孔の数をしっとる」
「ええ?」
「さあ、その石をよく見なさい。その石には合わせて九十二の孔があり、一番大きな孔になかに"清虚天石供"という五つの文字が刻んである」
これを聞いて荊雲飛は石の孔を数え始めたが、老人の言うとおり、孔は大小合わせて九十二あり、一番大きな孔のなかに、小さな字で"清虚天石供"という五文字が刻んであった。これに荊雲飛はがっくり来たが、それでも石を渡したくない。これをみた老人は、荊雲飛の心を見抜き笑った。
「ははは!では返してもらいます」
老人はこう言い残すと荊雲飛の家を出て行った。すると、かの石も消えてしまっているので荊雲飛は老人のあとを必死に追い、その袖をつかみ跪いて頼んだ。
「ご老人、お頼みします。かの石を私に下され。お願いします」
「なんじゃ、なんじゃ。わしの袖の中にあの重い石が入るとでもおもうのか?」
これをきいて荊雲飛は、この老人が仙人であることがわかった。そこで、地べたに何度も何度も頭をつけ、どうかあの石を譲ってくれ、これは一生の願いだと必死にいう。
これをみて老人は、荊雲飛は、金のために石をほしがっているのではないと悟り優しい声でいう。
「うん、うん、わかった、わかった」と荊雲飛について屋敷に行った。すると、かの石は応接間に戻っている。これに荊雲飛は大喜び。老人にぺこぺこ頭を下げる。これを見て老人はまた笑う。
「はははっはっはあ!もういい、もういい!お前さんは幼いときから石が好きだと聞いたが、これほどだとは思わなんだ。あの石はお前さんがいつまでも大事にしてくれると思うよ」
「え?それでは?」
「ああ。あんたはこの石の持ち主になる資格があるな。いいかな?この世の宝物というものは、すぐには見せびらかすものではない。あんたもこの石を豪族に取られておるしな」
「おっしゃるとおりで」
「いっておくが、あんたがこの石を手元に置くのなら三年寿命が縮むことになる。どうじゃ?」
「え?寿命が三年縮む?結構ですよ。この石の主になれるのであれは五年や八年寿命が縮んでもかまいません」
「うん、うん。その覚悟があればわしも安心じゃ。さっき申したように、その石には孔が九十二あり、あんたの寿命は三年縮むことも忘れてはいかんぞ」
これに荊雲飛は少しぼけていたが、気がつくと老人の姿はなかった。
「あれ?しまった。あの老人の名前も聞かずにいた。まあいいか」と荊雲飛はその日からかの石を大事に大事にした。
その次の年、荊雲飛は用事があって隣の県までいき、一週間後にもどったところ、石がない。そこで妻と息子が数日前に家に盗人が入り、かの石を盗んでいったことを告げた。悲しんだ荊雲飛はその日から人を雇ったりして必死に石の行方を探したがどうしてもわからない。