今度は「狩人と象」です。
ある狩人が山に入って迷子になり、疲れたので一休みしていて寝てしまった。で、誰かが自分を動かしているのに狩人は目が覚めると、一頭の象が鼻で自分を包(くる)みあげてどこかへつれて行くところだった。
狩人は怖くて気が遠くなり、今日はきっと生きて帰れないと思って目をつぶって死ぬのを待っていた。しばらくして象は狩人を地面に降ろし、なんと大きく一鳴き。狩人が肝をつぶしていると、周りから大きな地響きがして数十頭もの象が集まってきたではないか。そして象たちは狩人を囲み、長い鼻で近くの樹を指した。狩人は、これは何か自分にやってもらいたいことがあるなと悟り、立ち上がって近くの樹によじ登った。すると遠くから二頭の大きな獅子がこちらにのっそのっそとやってくるのが見えたではないか。そして獅子は吼えた。これに体の大きい象たちが震え上がり、いずれもその場に伏してしまった。
「なんだ?大きな体しているくせに獅子が怖いのか?そうか。俺に弓で獅子を退治してくれというんだな、よし!弓の名人のこの腕を見せてやる」
狩人はこういうと、肩にかけていた弓を手にし、一番鋭い矢をかけて思い切り引っ張り、先に前を歩く獅子を狙って放った、すると矢はその獅子ののど元に命中し、獅子はその場にひっくり返った。これにもう一頭の獅子は慌てたが、なにがなんだか分からず、首を上げて矢が飛んできたほうをみていると、そこへ狩人からの二本目の矢が飛んできて、その獅子の右目に突き刺さった。これに獅子はすごい悲鳴を上げて逃げだし、なんと近くの崖から落ちてしまったわい。
これを見ていた象たちは大喜び。早速、狩人を樹から下ろして一番大きな象の背中に乗せ、山の麓近くまで狩人を送り、そこで他の象が鼻で運んできた象牙を残して、山へ帰っていった。こちら狩人は「大きな象が自分より小さな獅子を恐れるとはなあ?」と首をかしげた後、象牙を持ち帰り、それを町でかなりの金に換え、暮らしの足しにしたそうな。
最後は、「大魚のお礼」です。
漢の武帝がある日面白い夢を見た。それは大きな魚が口に引っかかった釣り針をはずしてくれというのだ。
次の日は昆明湖に釣りに行ったが、なんと大きな魚がかかったので喜んだものの、昨夜の夢のことを思い出し、これを下のものにいうと、皇帝さま、そんな夢などは信じることはございませんといわれたが、やはり気になって、釣れた大魚から針をはずして逃してやった。
それから三日後、武帝はまた夢を見て大魚から礼を言われた。と、目を覚まして見ると、枕もとに大きく見事な真珠が二つ置いてあったと。
そろそろ時間のようです。来週またお会いいたしましょう。
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