今日は笛で奏でた素晴らしい民謡をお楽しみ頂きたいと思います。まずお送りするのは、中国で笛の大家と呼ばれる趙松庭さんの演奏による「ウ江風景」です。この曲はウ江両岸(の美しい景色を描き、故郷への思いを表した曲です。
ウ江風景
お聞きいただいているのは、中国で笛の大家と呼ばれる趙松庭さんの演奏による「ウ江風景」でした。
浙江省出身の趙さんは、幼いごろから故郷の民謡に深い関心を持ち、9才から師匠につき、笛を習い始めたそうです。14歳の時にはステージで演奏するほどの実力をつけていましたが、裁判官の父親は、彼に法律を学ぶよう命じたそうです。
趙さんは好きな音楽をあきらめるほかなく、上海法学院に入学し、法律を専攻しましたが、彼の心はずっと笛から離れませんでした。
1949年、趙さんは法学院を中退自主退学し,芸術団体に入り(、その後、彼の才能が充分に発揮されることになります。1954年、趙さんは東北地方に行き、農家の活気に溢れる生活に触れ、田舎の人々や美しい山河の景色が彼に多くのインスピレーションを与え、この笛の独奏曲「早晨(朝)」が誕生しました。この曲は優しく美しいメロディーで、朝日が昇る時に様々な鳥たちの鳴き声が響き、春の朝の情景を生き生きと表現しています。
早晨
お聞きいただいているのは、笛の大家である趙松庭さん作曲・演奏の「早晨(朝)」でした。趙松庭さんは1956年「中国音楽週間」でこの曲を初演した後、一躍有名になりました。
中国では笛の奏者は南方派と北方派に分けられ、南方派はゆったりとしたテンポで優しく美しい旋律を奏でるのが特徴です。北方派は明るく高らかな作風で主に中国北方地方の人々に親しまれています。
趙松庭さんは南方派と北方派という古い制約を打ち破り、双方の優れた点を融合させ、さらに西洋の笛の演奏法も参考にしながら、独自の演奏法を確立しました。では続いてお送りするのは趙松庭さんが奏でる「流水板」という曲です。この曲は、中国の国宝とも言われる京劇の名曲「蘇三起解」をアレンジしたものです。笛の音色で京劇の歌いまわしを見事に表現し、中国風の旋律を取り入れています。
流水板
今、お聞きいただいているのは笛の大家・趙松庭さんが奏でる「流水板」でした。
趙松庭さんが作曲した多くの作品は、中国で笛の代表曲として多くの人々に親しまれています。残念ながら趙松庭さんは第一線を退き、現在は浙江省芸術学校で、後進の指導にあたられています。
今日は、中国の有名な笛の奏者・趙松庭さんにスポットをあててお送りしてまいりました「中国民族音楽」。
最後は、趙松庭さんの演奏による笛の名曲「姑蘇行」をお聞きいただきながらお別れです。この曲は南方派の笛の代表曲で、静かな前奏は朝霧の中にある蘇州の庭園の美しい景色を表しています。それでは、また来週まで御機嫌よう。再見。
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