中国ではここ2、3年、昔から伝わってきた歌や踊り、演劇、漫才、工芸などいわゆる「無形文化遺産」の保護が重視されています。専門家を集めて研究したり、学校で伝統芸能の授業を設けたり、昔の作品を現代風に改編したりなどさまざまな活動が行われています。
そこで、そういった無形文化遺産の中の4つをご紹介しましょう。
1「ヤンコ踊り」
これは、中国の北方で広く踊られているものです。地方によって、音楽や踊り方が少し異なりますが、基本的な動きはほぼ同じです。
一般的な踊り方は、手に色とりどりの扇子や絹の織物を持って振りながら、前に3歩進んでは1歩下がるというものです。複雑なのは、4歩のうち、最初の2歩で両足をバツの字に組んで、残りの2歩はバツを解くというのもあります。
人数が多ければ多いほど迫力ができます。とくに西の地域では、お祝いのときになると何百人によるヤンコ踊りが行われます。それは壮観そのものです。
一方、北京では夏の夕方、華やかな衣装を着たおじいちゃん、おばあちゃんたちが銅鑼や太鼓の音に合わせてヤンコ踊りを楽しむ光景をよく見かけます。
2「長陽山歌」
中国中部・湖北省に住む少数民族・トゥチャ族の歌です。
全体として音が高く、調べが長いのが特徴で、山の間を通り抜けていくような響きが美しい歌です。歌うとなんとなく叫ぶように聞こえるから、地元では、「叫び歌」とも呼ばれています。
いつも田植えときなどに歌うものですが、そうやって叫びながら歌うことによって、重労働の苦痛を和らげたといわれています。
3「長調」
モンゴル族の歌です。2005年、モンゴル人民共和国との共同申請によって、世界無形文化遺産に登録されました。
メロディが滑らかで音域が広く、非常に情緒豊かな長調ですが、聞いていると心の奥まで響き渡って、広々とした草原が思い浮かんできます。
4「ムカム」
これは、同じく世界無形文化遺産の新疆の音楽です。
歌詞の内容には、昔の詩歌や有名人の名言、伝説などが含まれています。歌詞の中で、一般庶民の幸せの追求や現実への嘆きが描かれているので、「ムカム」は新疆の庶民生活や社会の百科事典とも呼ばれています。
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