
「中日青少年友好交流年」が3月15日、北京での式典を皮切りに盛大にスタートしました。その開幕に先立って、日本の各地から中高生1,000人の大訪問団が8つのグループに分かれて、上海、広州、広州、大連、重慶、成都など、8都市を訪れ、同年代の人たちと交流を深めました。私は滋賀県、石川県、愛知県からの148名の高校生からなる重慶コースに一週間同行し、生徒たちの交流の様子を目の当たりにしました。
まずは、若者の交流には、お互いに言葉が通じない中で、すてきな笑顔と一生懸命伝えようとする思いがあれば、気持ちはちゃんと伝わるということです。また、生き生きした表情の生徒たちが、言葉の違いを乗り越えてすぐに溶け込んでいる様子に、驚きと感心を覚えました。
もう一つ、日本と中国は、さまざまな共通の文化を持ち、お互いに近くにある存在であることを改めて感じました。
簡体字と日本語の漢字は面白い関係にある
中国に来て、辺りを見回すと意味が分かるような分からないような漢字を目にする、と日本人がよく言います。生徒らもそうでした。移動中のバスの中から、町の風景を眺めて、いろんな看板を見て、意味を当てている生徒の様子が印象的でした。中国では、いま略字の簡体字を使っているのを皆知っていますから、これは何の"略字"だろうと、面白がってみていました。

世界的に見ても、漢字を使っている国は、ほぼ日本と中国だけです。漢字は私たち共有の宝物として、その書き方の違いは、漢字の変遷を反映しているとも言えます。いま中国で使われている簡体字は、書きやすくはなったものの、バラバラになっているようにも見えると日本の方は思うかもしれません。生徒らから、こんな会話が聞こえていました。
ーー西岡さんの「岡」の字の中は、×になっているんだ。
ーー扉を開くの「開く」の字は、中の部分だけが残されている、門構えが取られている。
勿論、いまの簡体字は、書き方が日本の漢字と少し違うのもあれば、全く同じものも数多くあります。親しみを感じた生徒の中から「中国語は優しい。勉強してみたい」と言う人がいました。一方、中国の生徒が日本語の繁体字を見て、漢字は元々こう書くんだと感激する人もいました。
四字熟語に同じものが多いのに親しみを
国語の授業参観が終わったら、一人の日本人生徒が机に置いてある四字熟語の辞書に関心を示し、自分が知っている言葉を捜していました。中には、四面楚歌とか、天真爛漫、優柔不断、戦々恐々など、全く同じのもあれば、少し違うけれど、なんとなく想像できるのもあります。生徒らが日本語と中国語の両方で、同じ四字熟語を声に出して読んでいました。
今回は、初めて中国に来る生徒がほとんどでしたが、数年後みんなが再会したときには、中国語と日本語を使って会話できるようになっていれば、もっと互いに分かり合えることでしょう。
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