中国国際放送局紹介 日本語部紹介
Home
(五)「人の影」ー1
   2007-10-30 14:08:46    cri

 今度は「耳食録」という本から「人の影」です。

 「人の影」

 むかし、鄧乙という一人住まいの男がいた。鄧乙は人付き合いが悪く、夕餉のあとなどは、書物もろくに読まず、一人ですわり、部屋のか明かりのよこでボッとしているだけであった。これが続き、鄧乙はため息をついていた。

 と、ある日の夜、鄧乙はあまりにも寂しいので壁に映った自分の影に話しかけた。

 「おい!影よ。お前と俺は長い間の付き合いだが、お前、黙っているだけで、フンとかスンとか言えよ。俺は一人ぼっちで話し相手もいないよ。ったく!つまらない」

 と、鄧乙が愚痴をこぼしていると、不意に、「分かりました」という返事が来た。これに鄧乙はびっくり。家には自分しかいないはず。いったい誰が答えたのかときょろきょろしていると「わたしですよ。あんたの影ですよ」という声がした。

 鄧乙はいくらか恐ろしくなり、黙ってしまったところ、「何も怖れることはありませんよ。あんたの影があんたを取ったり食ったりはしないから」という。

 そこで鄧乙が本当か?とたずねると、「自分の主人をだましたりはしませんよ。さあ、私に何をしろというのですか?求めにお答えしますよ」といって、影が独りで壁から下りてきた。

 長い間一人ぼっちだった鄧乙は、これに喜び、さっそく注文を出した。

 「そうか。よし。じゃあ。若い物知りな若者を私の話し相手として出してくれ」

 すると影は「それはたやすいこと」というと、フッと煙が出て影は身なりのいい若者に代わり、鄧乙と話し始めた。この若者は多くのことを知っており、面白い話までするので鄧乙は大喜び。

 しばらくして、鄧乙は今度は若い娘がいいというので、若者はきれいな娘に変り、踊ったり琴を弾いたりして、鄧乙を楽しませてくれた。こうして、鄧乙の影はそれから毎晩のように鄧乙の願いを聞いてくれ、鄧乙は生まれてはじめての楽しい日々を送った。

中国昔話
v 尼僧 2007-10-23 18:03:13
v 森の髑髏 2007-10-23 18:02:58
v (一)「お化けと人間」ー1 2007-10-16 16:05:57
v (二)「お化けと人間」ー2 2007-10-16 16:05:53
v (三)「お化けと人間」ー3 2007-10-16 16:05:50
v (四)「お化けと人間」ー4 2007-10-16 16:05:45
  • 今日のトップニュース
  • 今日の国内ニュース
  • 今日の国際ニュース

  • • 基礎中国語
     皆さんは、ここで中国語と日本語に耳を傾け、フラッシュによる動画を楽しみながら、中国の風習や伝統文化を思う存分味わうことができます……

    • 「北京ワクワク」の購入について
     中国語講座「北京ワクワク」(上巻と下巻)のテキストは、日本の皆さんが初めて中国語会話を学習するための入門編です……
    |  link  |  E-メール  |