中国共産党の第17回全国代表大会は15日から1週間にわたって、北京で開催されています。大会に出席している代表は合わせて2220名。そのうち10.9%は少数民族の代表で、242名です。中国では、総人口の91.6%が漢民族で、残りが55の少数民族です。そのうち42の少数民族代表が今回の党大会に出席しています。今回の党大会で使われる書類は、中国語のほか、モンゴル語、ウィグル語、カザフ語、朝鮮語、チワン語、チベット語の7種類の少数民族の文字が使用されるということです。
242名の少数民族代表には、地方の自治政府の役人もいるし、企業家や学校の教員などもいます。
チワン族で教師をしている女性、韋珍蘭さんは代表の一人です。
韋珍蘭さんは今、広西チワン族自治区貴港市覃塘区蒙公郷高占小学校の副校長をしています。覃塘区の北部に住んでいるのは、ほとんどが少数民族だそうです。地元の土地はやせて、よく干ばつに襲われる経済的に貧しいところです。1977年、故郷を離れて、高校を卒業した韋珍蘭さんは、地元の小学校で教鞭をとりはじめました。4年後に、近くの蒙公郷中心小学校に転勤しました。
ところで、チワン族は、中国で最も人口の多い少数民族で、チワン語を話していますが、新中国成立までは、自民族の文字を持っていませんでした。20世紀50年代、言語の専門家たちは、チワン族の住む地区に赴き、調査・研究し、チワン族独自の文字を作ることに協力しました。しかし作られた文字は、普及しませんでした。
最初の3年間、韋珍蘭さんが教えている小学校では、チワン族の子供と漢民族の子供と一緒に、標準語だけを勉強していました。普段、チワン語しか話していないチワン族の子供は、先生の翻訳を聞きながら標準語の勉強をし、大変、苦労しました。
1984年、自治区教育委員会は、小学校でチワン語と標準語の二種類の言葉で教えることを決定し、韋珍蘭さんがいる小学校をテスト校に選びました。十分なテキストもないし、経験もなかったですが、韋珍蘭さんは、精一杯がんばってきました。20年以上たった今、自民族の文字を身に付けたチワン族の人々は、その大切さを分かるようになったそうです。
貧しい家庭の子供がほとんどですので、韋珍蘭さんは、知識を生徒に伝えるだけではなく、母親のように、生徒たちの生活ぶりも気にかけます。両親を亡くした姉妹のために家事をしたり、貧しい男の子の代わりに学費を払ったりということもあったそうです。
2003年、韋珍蘭さんは、また転勤し、高占小学校の副校長を担当するようになりました。しかし、これまでと変わらず、教壇にも立ち、子供達に愛情を注ぎ続けています。(編集:藍暁芹)
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