
日本のアニメーション作家で映画監督の宮崎駿さんといえば、おそらく日本、中国だけでなく、世界各国の人々、とくに若い人たちによく知られている人物でしょう。宮崎さんのアニメは、擬人化した動物などを主人公とし、人間が住む世界でないところにストーリーを展開するものが多いです。物語は、現実の世界から離れ、幻想的な感じで、見ている私たちに世界や人生について考えさせます。北京には、そんな宮崎駿さんのアニメに感動し、そのアニメ音楽を演奏している学生たちがいます。
中国の音楽教育の最高学府、中央音楽学院では先週、宮崎駿アニメの音楽を演奏するユニークなコンサートが行われました。

声楽・ピアノ・バイオリン…中央音楽学院の学部生たちが集まり、1時間30分にわたって、楽器を奏でたり、歌ったりしました。演目は、「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「千と千尋の神隠し」「もののけ姫」「天空の城ラピュタ」など、おなじみの宮崎アニメばかり。曲はどれも、原作のままというわけではなく、学生たちのアレンジが少し加わっています。
「私たちには、楽譜がありません。みんなでアニメを見ながら、その中の音楽を一音一音聞き取ってまとめたのです。また、出演者はみんな違う学部にいるので、みんなを集めてリハーサルするのにもずいぶん苦労しました」(荊珂さん・コンサート企画者で中央音楽学院音楽芸術管理学部二年生)

コンサートは一般公開されたため、学生・市民など様々な年齢層の人たちがやってきました。会場は、座席数が400席くらいのホールですが、当日は600人以上が訪れました。席がないため、座席ブロックの間の通路階段に座り込んだり、立ち見をする人たちも出て、会場の雰囲気を盛り上げていました。そして、ラストの曲にくると、大いに盛り上がり、会場の雰囲気は一気にクライマックスに。観客たちは全員立ち上がって、リズムに合わせて手をたたいたり、一緒に歌を口ずさんだりしていました。
企画者の荊珂さんによりますと、中央音楽学院では、満席になってもどんどん人がやってくるというのは、プロの音楽家の公演でもなかなか見られないということです。荊珂さんは「かつて宮崎駿さんのアニメからいただいた感動をみんなに伝えたい」という思いでこのコンサートを企画したのですが、それは十分に伝わっていたようです。このコンサートは、国境を越えた市民同士の心のふれあいにつながりました。音楽には国境はない、ということを改めて実感しました。(鵬)
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