中国音楽学院の若手教師・宋飛さんは、中国でも有名な二胡の若手演奏家です。彼女は、二胡の演奏だけではなく、古琴や琵琶を弾く事もでき、「中国民族音楽の女王」とも呼ばれています。多くの人が彼女の演奏で、二胡の良さを知ったと言うほどです。
彼女の父は、天津音楽学院で二胡の教師をしていました。ある日、父親が、家で生徒に二胡を教えていた時、当時、わずか5歳だった彼女は、二胡の音色に強い興味を示し、生徒が帰った後、二胡で遊び始めたのです。父親は、その日から、彼女の音楽の才能を育てるため、毎日、彼女と二胡の練習をしてたのだそうです。
7歳の時、宋飛さんは、初めてステージで演奏をする機会を得ました。彼女がステージに上がる直前、お父さんは、彼女の二胡の音程がずれている事に気がつき、それを調整した後、「宋飛、心配しないで、舞台で飛び回っておいで」と声をかけました。
それから、彼女は、ステージに上がる時はいつも父親のその言葉を思い出し、舞台の上で、精一杯自分を表現する事を心がけているのだそうです。
「一枝花」
彼女は、16歳の時に全国規範の二胡のコンテストに参加し、この曲で2等賞に輝きました。この時、審査員のほとんどが、わずか16歳の少女が こんなに高い演奏レベルを持っていることに驚きを隠せなかったそうです。
1991年、宋飛さんは、民族音楽の名門大学・中国音楽学院を卒業した後、中国中央民族楽団に入り、中国民族音楽舞台の輝かしいスターとなりました。
1998年には、彼女は、楽団と共に、初めてウィーン国立歌劇場の舞台を踏みました。その時、美しいピンク色ドレスを身にまとった彼女の演奏した「二泉映月」と言う曲は、会場を訪れた多くの観客に強い印象を残したそうです。
「二泉映月」
1998年にウィーン国立歌劇場で初演奏をした彼女は、続く1999年の春節にも同じ舞台を踏み、中国民族音楽界の地位を名実共に確立しました。
今、母親になった彼女は、その輝かしい舞台からはだんだん遠ざかるようになりましたが、母校の中国音楽学院で、次世代の教育に力を入れています。
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