こんな話がありました。もちろんこの林涛がアレンジしています。すみません。
阮籍には美しい娘がいて、どうしても妻にしたいとか、どうか嫁にきてくれという申し込みが絶えなかったころ。なんと司馬昭が彼の娘を嫁にくれといってきた。そして何度も使いを送ってきた。
「どうでござるか、阮籍どの、司馬昭さまが、娘御を嫁にくれとこうして私を数回もお宅に遣られたのですぞ。今日で五回目ですぞ。これで司馬昭さまのお気持ちがお分かりになるはず」
「はい!そうはもうされましても・・」とその場は何とかしのいで使いを帰して考えた。
「これはいかんのう。もし、司馬昭の頼みを受け入れれば、わしは権力を恐れたと人に言われるし、もしはっきり断れば司馬昭はあとでどんな仕返すをするか分からん。下手をすると命がなくなるワイ。う潤オん、どうしたものか」と考えた挙句、ふといい方法を思いついた。
次の日、阮籍はなんと朝から大酒を食らいはじめた。しばらくして司馬昭の使いがまた来たが、なんと阮籍は酒瓶を手にふらふらに酔っ払って応接間に出た。
「ういー!何でござりるか?いわれていることかわかりませんなあ!なに、貴公も飲まれるか?ではご遠慮なく。うちには酒ならいくらでもござりまするぞ!さ、どうぞ」
「いや、酒はいらんが、司馬昭さまのお頼みを一体どう考えておられるのじゃ?今日こそは答えを聞きたい」
「え?司馬昭さまが一杯お飲みになるとな?さ、酒ならもっていかれや。上等な酒をどうぞ!」
これでは話にならんと使いは帰っていった。
ところが阮籍は次の日も次の日も朝から酒びたりで、かの使いが来てもいつも泥酔し、応答しない。そしてこれがなんとニケ月以上も続いたという。
これにはあきれた使い、ありのままを司馬昭に報告した。
「なんじゃと?もう二ヶ月も毎日酒びたりで、はっきりした日はないじゃと?う潤オん!酒気違いの阮籍めが。これは仕方がないワイ!こちらがあきらめるか。」と当の司馬昭のほうが根負けしてしまったという。
こうして、阮籍は娘を司馬昭の息子にやらなくてすんだそうな。
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