今日は「花の都」と呼ばれている都市、中国南部広東省の省都広州を皆さんにご紹介します。広州は海を隔てて香港とマカオと向かい合っています。中国の遠洋運輸の港であり、また多くの鉄道と航空ラインで中国の都市と結んでいるため、中国の南の玄関口とも呼ばれています。広州は亜熱帯海洋気候に属し、年平均気温は21度前後で、一年中花が絶えません。特に旧正月前後に「花市場」が開かれ、広州の市民は市場で花を買って春節の家をきれいに飾る習慣があります。このため、花の町の広州という名は中国全国で広がっています。
花の町としての広州はあまり日本では知られていませんが、日本の方にとって、なじみのある広州といえば、食の広州ですね。「食在広州」つまり食は広州にありという言葉は広く定着しています。「四つ足はテーブル以外,空を飛ぶものは飛行機以外何でも食する」とは言うほどです。自由市場には様々な食材が並び、食べることに関して意欲旺盛な街であることが分かります。
広州の町を歩いたら、まず一番印象に残るのはレストランや食堂が非常に多いこと。ちょっとおなかがすいたら、すぐ近くに各種のレストランを見つけられます。特に飲茶は広州料理の代表的なものの一つです。昔飲茶は朝だけのものですが、いまお昼、夜まで三種の飲茶が現れました。しかも、すべてのお店が飲茶を設けています。お客さんが席に着いたら、店員さんはすぐに「何名様ですか。どんなコースを頼みますか」と親切に対応します。しかも値段も手ごろで、一般市民が手が出るものばかりです。飲茶は安いため、友達が待ち合わせする場所、おしゃべりする気軽なところとなっています。特に、仕事で疲れたり、ストレスがたまったりしていたら、ここでお茶を飲みながら、おつまみやお菓子を口にして、ちょっとした休憩の時間となります。現在、多くの定年退職したお年寄りのレジャーの一つを担っています。朝起きたら、公園を散歩した後、近くのレストランにより、新聞の朝刊に目を通しながら、飲茶をします。また友達を呼んで、食べながら、家のこと、国のこと、世界の出来事などについておしゃべりします。数時間でレストランで過ごすのも広州市の風物詩となっています。
広州料理の特徴は皆さんがご存知のように、材料を大事にして、食材そのものの味を生かすものです。夏と秋はあっさりしたもの、春と冬は濃厚なものを食べます。調理方法は煮込む、焼く、つかる、いためるなどの方法があります。この中で数時間かけて煮込んだスープはもっとも有名な調理法です。主婦達が顔をあわせたときの挨拶言葉はいつも「今日はどんなスープを作るの」です。また広東料理のお店も一定期間ごとに必ず新しいスープのメニューを作り、ブームを引き起こします。これはまさに食べるのが好きな広州ならではのことです。
また広州では主婦はスープを作れないと良い奥さんとは言えないとまで言われています。スープは広州の食文化の一つのしるしになっています。ほかの地方から広州に来た人はまず最初はレストランに頻繁に通い、そのあと、多種多様な食材と薬剤を買い込み、また陶器製の電気釜を購入します。しばらく経つと、広州生まれでない人もスープの達人になってしまいます。
湿気が多い広州では、湿気を除去し、熱を冷ますにはスープが大きな役割を果たしています。例えば、暑気払いのためのスープは緑豆、昆布、冬瓜、蓮のみなどをとりや骨付き肉と一緒に煮込むと出来上がりです。
広州のスープのもうひとつの特徴は自分の体の状況や季節の移り変わりによって代わります。スープは病気を治す役割さえあります。例えば、50代に入ると、人々の循環機能が衰えていき、骨格の老化が早まるので、骨付き肉のスープを飲むと、老化を予防できます。また魚のスープは特殊の脂肪酸が含まれ、炎症解消の効果があるので、喘息、呼吸系統の病気、特に児童の喘息に効きます。このほか雌鳥のスープはのどや気管支膜の血液循環を早め、粘液の分泌を促す効果があるので、のどの乾燥や痛みに効きます。
食材だけではなく、広州料理は時間にもこだわりがあります。鍋は三時間、陶器釜は4ー6時間かかります。またスープの調理用具は鍋や陶器釜でなければその味が出ません。
なぜ食は広州にありという名が広がったのか、分析すると、広州の自然状況と人文環境と関係があります。まずは開放性です。広州は沿海地方にあり、交通が便利で、古くから中国と外国の経済や文化交流の有名な港となっています。海上のシルクロードの出発点とも呼ばれています。開放した環境で育った広州人はオープンな考えを持っています。広州には中国全国の料理が集約し、世界各国の料理も見つけられます。
それから包容性。開放した広州は各地の文化を吸収し、学びます。食の面では特に反映されています。第三は開拓性。広州人は各地の伝統的な風物料理を学びながら、絶えず新しいものを作ります。広州料理について「伝統があり、本場がない」という言い方があります。広州人の開拓の精神を反映しています。また広州人は食事の無駄をしません。食べきれないものはもって帰ります。
広州の食文化も時代とともに絶えず前進しています。広州の食文化は外来文化の衝撃を受けました。マクドナルドやケンタッキーなど西洋のファーストフードは多くの広州の若者と子供に気に入られ、広州人の生活や考え方には変化が現れています。広州の食文化には三つの新しい変化があります。一つは観光と結びついています。多くのレストランは観光地と連携して、老舗の味を披露し、観光客にPRしています。第二の変化は食の便利化。生活リズムが早まるに伴い、各種の半製品や既製品、ファーストフードが発展し、人々に歓迎されています。第三は食品の栄養の合理化。広州料理は栄養のバランスを重視し、食事で気を補い、健康管理をします。絶えず健康管理の研究を食事の中に取り入れています。そして第四は食材の天然化。野菜や肉の質はもっとも重要視される問題になり、無公害食品の市場が絶えず拡大しています。そして最後は食事の情緒化。つまりレストランのつくりや環境は居心地がよく、エレガントで、置物の据付やメニューの名前、店員の制服なども食文化の品質にかかわります。また美しいバックミュージックやダンス、ファッションショーなど食と芸術を結びつけ、お客さんに豊富多彩な文化を味わってもらいます。
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