「良宵」は中国の有名な二胡作曲家・劉天華さんが1928年の大晦日に創作した短曲で、原題は「大晦日夜の小唄」です。1928年の大晦日の夜、劉天華さんの弟子達が劉さんの自宅に集まって賑やかに過ごすことになりました、劉さんは非常に喜んで、即興でこの曲を創作したそうです。「良宵」は中国音楽らしい叙情性に富んでいる曲で、その軽やかなメロディーから春節の楽しい雰囲気を充分に感じることができます。「良宵」は1920年代に創作されてから、多くの人々に愛され、特に二胡愛好家に好んでよく演奏されます。1993年には中華民族文化促進会の「20世紀中国人経典音楽作品賞」を受賞しました。

　劉さんは1895年に中国南部・江蘇省のインテリ一家に生まれました。劉家の3人兄弟はいずれも中国文化界で大きな影響力を持つ人物です。劉さんの兄・劉半農さんは中国新文化運動の代表的な詩人・作家で、劉さんと弟・劉北茂さんは有名な民族音楽家です。劉さんは中国伝統音楽の魅力と西洋音楽のテクニックをうまく融合し、「閑居吟」「良宵」「空山鳥語」「光明行」等の中国音楽史上に残る傑作をを作りました。しかし、充実した創作活動期に入った矢先、猩紅熱で急逝しました。わずか三十七歳でした。