今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
1月も下旬にはいり、北京は冬本番というところ、しかし、雨量が少ないので乾燥しており、わたしなどは昔からお茶の味を知らないものですから、毎日、ミネラルウオーターや白湯をがぶがぶ飲んでおります。
で、この時間は昔の変ったお話を三つご紹介しましょう。
まずは、「酔茶志怪」という書物から「酔っ払いと化け物」です。
「酔っ払いと化け物」
林さんはいつも酔っ払っては事を起こし、隣近所から嫌われていた。当時、村の近くの墓場では、夜は毎日のように化け物が出て通りすがりの人々に害を与え、このごろはその道を通る者もいなくなったという。そこで隣近所がある日の夜、酔った林さんをからかった。
「なんだい林さん。毎日そんなに飲んで人に迷惑かけたりして」
「酒を飲むもは俺の勝手だ。文句あんのかい!」
「文句も何もないよ。でもそんなに暴れたいのなら、村の近くの墓場に出る化け物を退治したら?」
「なんだと?化け物の退治だと?」
「そうさ!あんたにはそんな勇気はないだろうけどね」
「ふざけんな。俺は化け物なんざ怖くねえ」
「じゃあ、行って退治してきなよ」
「おう、おう。いこうじゃねえか」
「もし、退治できたらあんたお手柄だよ」
「お手柄?そうかい。お手柄かい。そういわれりゃ、いやでも行かなきゃなあ。そのかわり、俺が化け物を退治したら酒とうまいものをくわせろよ」
これを聞いた隣近所の人々、どうせ林さんは怖くなって逃げてくると決め付けていたので「いいよ。約束するよ」と答え、ニヤニヤ笑っていた。
こうして林さんは、化け物退治だからもっと酒飲んで勇気をつけなきゃあとおもい、なんと酒の入ったひょうたんを二つ腰にぶら下げ、ふらふらしながらかの墓場に一人でやってきた。そこはいくらか荒れた墓場で、生暖かい風が吹き、遠くから狼の鳴き声が聞こえる。
「なんだい?気味が悪いね。ふん!こうなりゃあ、おびえて引き返すわけにもいかねえ。さ、酒をもっと食らって肝っ玉を太くするか」と林さん、これまでかなり飲んだのに、またひょうたんの蓋を抜いてをがぶがぶと酒を飲んだ。
「ふうー!酒はいつ飲んでもうまいねえ」といいながらしゃっくりしていると、この声が聞こえたのか、一番大きな墓石のうしろから、背丈八尺もあろうと思われる化け物が出てきた。その夜は丁度満月が出ていたが、化け物が月の光を背にしていたので、林さんにはその姿がはっきりわからん。しかし、林さんは酒の勢いで怖さを覚えない。そして相手をはっきり見ようと黙ってしかめっ面していた。すると化け物は不思議がり声をかけた。
「おい!お前は何者だ?」
これに林さんは急におかしくなり、ヒヒヒと笑った。
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