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(五)「不思議な調べ」
   2007-01-23 14:32:25    cri

 今度は、同じく「太平広記」から「不思議な調べ」です。

 「不思議な調べ」

 村正は河北のある村に住んでいたが、妻が病で亡くなったばかりで、亡骸はまだ棺おけに入れていない。その日の夜、娘が母の亡骸を置いた部屋で泣いていると、遠くどこからか不思議な調べが聞こえてきた。そしてその調べは庭に入り、すぐに亡骸を置いた部屋に入ってきたようだ。すると死んだはずの母が眼をつぶったままふと起き上がり、びっくりした眼で見ている娘の前でふらりふらりと踊り始めたではないか!娘はあまりの驚きに声を出すことも忘れてしまい、ただ、踊る母を見つめるだけ。やがて踊りながら庭に出たので、下男たちがこれを見て悲鳴を上げる。しかし、屋敷の主の村正は用事で留守。この家のものはみな恐ろしがり、亡くなった奥さまが踊るのを止めようとしない。やがて妻は踊りながら屋敷を出てどこかへいてしまった。そこで下男の一人が恐ろしさをこらえあとをつけて行った。やがて夜半になり、主の村正が帰ってきた。そして死んだ妻のことを聞いていると、かの妻のあとをつけて行った下男が帰ってきて村正の妻の行き先を告げた。これに村正は、ぶりぶり起こり、「死んだものをもてあそぶとはけしからん!!」と怒鳴って、台所に行って徳利を取り出し、中に入っている酒を一気に飲み干し、横にあった出刃包丁を布で巻いて腰に挿したあと屋敷を出て行った。

 やがて村正た妻がいるという古い墓場に来ると、不思議な調べが聞こえ、月の光の下で、死んだはずの妻がその調べに乗ってふらふら踊っているのが見えた。村正はすぐには声をかけず、耳を澄ますと、かの調べはある木のあたりから聞こえてくるではないか。そこでこっそりその木に近づいてみると、どうも調べは一本の枝から聞こえ、その上、その枝はポーッと光って見える。そこで村正は、出刃包丁を腰から抜き、巻いてある布を解いて大きな声で「いい加減にしろ!妻がかわいそうじゃないか!」と叫び、力いっぱいその枝を切った。すると枝は切り落とされ、かの調べもハタッと止み、踊っていた妻もその場に倒れた。そこで村正は額の汗をぬぐい、死んだ妻をかついて屋敷に戻ってきたわい!

 そろそろ、時間のようです。ではまた来週お会いしましょう。

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