北京市豊台区第1幼稚園では、いま、「我演紅楼夢(私が紅楼夢を演じる)」という演劇コンテストが行われています。
去年、オーディション番組の流行が目立っていました。湖南衛星テレビの「超級女声(スーパー女性ボーカリスト)」や、上海東方衛星テレビの「加油!好男児(頑張れ!いい男)」などが大ヒットしました。それを受け、北京テレビは、古典小説『紅楼夢』を再びドラマ化させようと、全国で出演者のオーディションを行いました。
テレビでオーディションの中継を見た北京市豊台区第1幼稚園の子供たちは、『紅楼夢』とは何か、古典小説とは何かなどと、先生に聞きました。これは、子供たちに中国の古典文学と伝統文化を教えるチャンスではないか、と先生たちは、「我演紅楼夢」というコンテストを始めました。
幼稚園児が、はたして『紅楼夢』を演じられるのかとの疑問を持つ人がいるかもしれませんが、実は、「我演紅楼夢」は、そんなに複雑な演劇ではないのです。
幼稚園の先生によると、登場人物は『紅楼夢』の中の人ですが、劇の内容は、原作とまったく関係がありません。テーマには、作詩コンテストや、ピクニックなどがあります。たとえば、作詩コンテストでは、主人公の賈宝玉と林黛玉が、クラスメートになっています。賈宝玉は、朝寝坊ばかりの怠け者で、学校での成績も悪い方です。林黛玉らクラスメートと一緒に、作詩コンテストに参加しますが、詩を1つも作れません。それで、自分の勉強不足を反省し、林黛玉ら友達に助けてもらって、いい学生になったというストーリーです。ただ、劇の台本や、服装などは、全部子供たちが自分で作ったものだそうです。
大人から見れば、幼稚な演劇ですが、それをやることにより、子供だけでなく、先生も実りいっぱいです。
「私たちが『紅楼夢』を説明する中で、子供たちは、古代と近代とではいろんなところで違っている、ということに気がつきました。たとえば、本に書かれている文字について、いまの本は横書きが多いですが、昔の本は縦書きが多い。また、いまの本は、紙製のものが普通ですが、昔は、竹で作ったものが多い…というようなことをたくさん知りました。
そして、『紅楼夢』には、詩や歌がいっぱい入っているので、子供たちは、昔の歌や、曲に興味を持つようになりました。これは、ポップスやロックが流行るいまでは、珍しくてありがたいことですね。
それに、私たち自身のことを言えば、古典文学や伝統文学に関する知識を、子供たちに教えるには、まず、自分で勉強しなければならないので、先生たちも、このイベントによって、いっぱい知識を身につけたと思います。」(豊台区第1幼稚園教師・サイエイ)
この演劇コンテストは現在、1クラスに限られていますが、今後は、ほかのクラス、さらには他の幼稚園や、学校をまわって公演する予定だそうです。内容も、『紅楼夢』のような古典小説以外、伝統戯曲などをやります。
「我演紅楼夢」のような、われわれの未来を支える子供たちに伝統文化の素晴らしさをわかってもらうイベントが、今後もどんどん行われていくよう期待したいものです。(鵬)
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