現在、中国の人々、とくに都会の住民は、鉄筋コンクリート造りの建物に囲まれながら、新しいコミュニケーションの手段を捜しはじめています。
今回紹介するインターネット・コミュニティとは、簡単に言えば、同じアパート・マンションの住人がともに作ったBBS・掲示板です。利用者が、情報を交換したり、社会の出来事に対する意見を表明したり、相談したりする場となります。
その特徴は、利用者がすべてお隣近所であるため、共通した関心事、とくに日常生活に関する話題が多いということです。なにか問題があれば、すぐその対策をめぐって相談するので、一般の掲示板と比べて、実用性が優れているといわれています。このほかには、人間関係の促進、自己実現、インフラ建設など、多くの面でそれなりの役割を果たしているということです。
現在、都会では、高層の建物に住む人が多くなったため、平屋に住んでいた年代より、お隣近所と対面、交流する時間が減ったといわれています。昔ならどんな仕事をしているかまで知っていたのに、お互いに顔さえ知らないのが普通です。
インターネット・コミュニティによって、この問題が改善されつつあります。インターネットで、アパートの水道料金・電気代から社会の出来事まで、あらゆることについてチャットすることで友達になり、また、子育ての講座や祝日のイベントを行うことで、実際に会って話し合う機会もできました。
「私は、料理が好きで、さまざまな美味しい料理の作り方を、自分だけでなく、もっと多くの人と共有したいと思って、インターネットで料理をテーマとするコミュニティを開設したのです。それで、近くに住む人々の間で知られるようになり、ちょっとした『有名人』になりました。家庭料理のテレビ番組に推薦されたこともありました。」(北京の住宅団地・「天通苑」の住人:Lさん)
「私が住んでいるマンションには、子供が遊ぶ場所とか、図書館などはないんです。それがないと、子供の成長に不便だと思って、うちのコミュニティで、図書館や活動センターの建設を住民たちに呼びかけてみました。
驚いたことに、みなさんはすぐ応じてくれて、積極的にお金を寄付したり、自分の家から本を持ってきたりしました。中には、新しい本を買って贈ってくれた人もいました。それで、1年足らずで、図書館を建てられたのです。これは、インターネットコミュニティのおかげだと思います。」(住宅団地・「回龍観」の住人:Rさん)
こうした、さまざまな例が聞かれるようになりました。都会人の新たな「住まい」となったインターネット・コミュニティは、ますます広がっていくでしょう。
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