中国では「動画」、または「美術片」と呼ばれるアニメーション。どのような素材を使用してアニメ原画を作成するかによって、セルアニメ、人形アニメ、切り絵アニメ、折り紙アニメに分かれ、さらに、中国オリジナルの水墨アニメや最近のCGアニメを加えると6ジャンルに分類されます。
特に、「水墨アニメ」は、中国の伝統的な物語を素材とし、動物や子供の心のふれあいをテーマに、人物の輪郭が水墨画である風景画の中に溶け込むことから、中国で最も芸術性やオリジナル性が高いアニメと言われます。その代表作で1960年に公開された『小蝌蚪找媽媽(お母さんを探すオタマジャクシ)』は大ヒットし、国産アニメ発展期の幕開けとなりました。
それ以後の70年代や80年代には、『阿凡提』、『黒猫警長(黒猫警察官)』、『葫芦娃(瓢箪兄弟)』など優れた作品が数多く作られ、いずれも、その主題歌を、子供なら誰でも歌えるほど人気を呼んでいました。
ところが、80年代から90年代になり、改革開放が進むにつれ、日本、アメリカなど外国のアニメが中国に進出してきました。とりわけ、『一休さん』、『ドラえもん』、『スラムダンク』など日本のアニメが人気を集めました。人物もストーリーも豊富多彩な外国のアニメに触れ、中国の青少年は、従来の中国アニメには満足できなくなってきました。
外国アニメの進出、加えて、業界が視聴者のニーズの変化に気づけなかったことで、中国の国産アニメは、量、質とも大きな壁にぶつかりました。
こうした状況の中、中国政府は、国産アニメを再び復興させようと、2004年から、さまざまな取り組みを行っています。国内のアニメ制作会社に対して優遇政策を実施し、アニメ関連人材の養成も進めています。テレビ放送でも、アニメ専門チャンネルや子供チャンネルが設けられました。
さらに、今年6月、北京映画学院アニメ学院に、「中日漫画・アニメ研究センター」が設立されました。おもに、中国と日本の漫画・アニメの学術交流や、制作を通して両国の青少年の文化交流を促進するのが目的です。
先進国の技術を学び、それを中国のアニメ制作に活かす……そうなれば、子供たちは、質の高い国産アニメに親しみつつ、同時に中国文化をも学んでいけるというわけです。
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