そして窓の隙間から小人が槍を手に入ってきてゆかに降りると瞬く間に普通の人間の大きさになった。もう寝てしまった下男はそれには気付かなかったが、于さんはそれをみると剣を抜き、すばやくその男めがけて一刺し。しかし、その男は瞬く間に元の小人に変わり、なんと槍を振りかざして于さんめがけて攻めてくる。これをかわした于さんが剣を振り下ろすと、小人は窓のほうに逃げだすので、于さんはすばやく行く手を遮り、一刀のもとに小人を切り倒した。そこで明かりを持っていき、いったい何者かとみると、それは紙で作った小さな人形であった。
そこで于さんは椅子にすわり、剣を抱えて待った。それから一刻ほど過ぎたころ、怖い顔をした化け物がまた、窓の隙間から入ってきたので、于さんは化け物がゆかにたつ前に、一撃の下に化け物を真っ二つに切り伏せた。が、肉を切った感じがしないのでまた明かりを近づけるとやはり紙で作ったものだった。
「これは、もしかしてかの易者が妖術を使ったのかもしれない。まだ来そうだ。もう少しまってやろう」と于さんが、そのままでいると、今度は窓の外で牛が荒い息をするような音がし、はじめに窓がゆれだし、暫くすると部屋全体が揺れるような感じがした。そこで于さんは思い切って窓を開け庭に飛び出した。すると月の明かりの下に大きな化け物が立っていて、黄色い眼をぎらぎら光らせ、手に弓を持ち、腰に矢の入った細長い袋をぶら下げている。そこで于さんが構えると、化け物はすばやく矢を取り弓にかけると于さんめがけて放ってきた。于さんが剣で飛んでくる矢を打ち落とし、こちらから攻めようとすると、もう一本の矢が飛んできたので于さんはしゃがんでそれを避けたところ、矢は壁に当たってがッ!という音がした。
「これはすごい力だ」と冷や汗かいた于さんだが、相手は矢が当たらなかったので「うううう~!」と恐ろしい声を出し、体の後ろから大きな刀を抜き、襲い掛かってきた。
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