今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
今日のこの時間は、変わった三つ昔話をご紹介しましょう。
はじめは「御史台記」という本から「荒地を買った男」です。
「荒地を買った男」
時は唐のころ、河東に裴明礼という男がいた。彼は家事を切り盛りするのがうまい上に、頭もよく、ものをかなり集めた後で、頭を働かし儲かるように工夫する。
それまでいくら貯めた金をつかい裴明礼は郊外で多くの荒地といってもいい土地を手に入れた。この荒地は石ころやレンガばかりでなにも植えられない有り様。そこでこれまで誰も買おうとはしなかったのだが、裴明礼はこれを思ったより安く買ったあと、角の方に立て札を立て、横に大きなかごをたくさん置いた。その立て札にはこう書いてある。
「ここの土地から石ころやレンガを探し出し、立て札の横に積んであるかごに入れてくれたものには小遣いを渡す」
これを見た子供や家計がよくない人は、さっそくここに来て、石ころとレンガを拾ってかごに入れ、またいっぱいになったかごを裴明礼の家に運んできた。そこで裴明礼はこれら人に小銭を渡したので、小石やレンガを拾う人が増え、この荒地はきれいになった。そして今度は人を雇ってこの荒地に草を食べたあとの牛やヤギを追い込んだので、何日かあとに、ここは牛やヤギの糞ばかりとなった。
そして裴明礼はこれまで集めておいた果物の種をまき、また人を雇って牛に鋤を引っ張らせ硬い土地を耕したので、果物に種は糞などと共に土の中に埋まり、一年後には多くの果物の苗木が生えてきた。こうして裴明礼は、当時少なかった苗木を市場で売り、大もうけした。裴明礼はそれを基にかの土地の近くに大きな屋敷を建て、また、人を雇ってその庭で蜜蜂を飼い、果物の苗木がでた畑に、薬の材料にしたり、お茶に入れて飲むこともできる立葵をたくさん植え、蜜蜂を使って立葵を咲かせ、また蜜も多く取れたので裴明礼は、のちに大金持ちとなった。
その後、唐の太宗が皇位にあった貞観年間に裴明礼は役人となり、のちに太常卿という高い位に着いたという。
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