北京には4つのお城の名前がつけられています。中心となるのは紫禁城、つまり故宮です。それを囲むようにして、皇城と呼ばれる地域があります。北の地安門、東の東安門、南の中華門、西の西安門に囲まれた一画です。その外側、いまで言えば北京をぐるりと回る地下鉄2号線に囲まれた部分が内城、そして前門から南の一帯が庶民が住んでいた外城です。もちろん、いまは地名として残っているものの、門そのものはほとんどが取り壊されています。
さて、その皇城の全景をめぐり合えるのが、その名も北京皇城芸術館です。中に入ると、18世紀の清の時代の皇城が500分の1の模型で作られています。故宮の屋根はいまと同じ黄色、故宮を取り囲むように大、小の住居が並んでいます。故宮に仕える職員の住まいもあれば、医師や衣裳を作る専門家の家、或いは食糧の貯蔵庫なども並んでいます。故宮の広さは南北に2790メートル、東西に2300メートルというのも、この模型で分かりました。
この皇城芸術館は、故宮の東側にあります。故宮から長安街を東の方向、つまり北京飯店や王府井の方向に歩き出すと、高い赤い色の塀があります。この中は、菖蒲河公園といって、水が流れる散策路になっています。この公園の中にあるのが皇城芸術館です。
館長代理の張勇さんによりますと、皇城芸術館は、2003年6月に一般開放が始まり、基本的には明、清の時代から解放前までの古い北京の様子や人々の暮らしぶりが分かるものが展示されています。子供の遊び道具、今でも公園で見られる鳥の鳴き声競争用に持ち運びする鳥かごなども見つけました。
そして珍しい写真も飾ってありました。先ほど門の話をしましたが、故宮の入り口、天安門を背にして、長安街の左、右にも門があったのです。長安左門と長安右門です。ここをくぐって、さらに天安門を通過しなければ、故宮に入れなかったのです。要所、要所にはもちろん門衛がいました。
天安門広場や故宮見物に疲れたときにお薦めなのが、この北京皇城芸術館です。
|