今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
8月もあと一週間あまり。早いものですね。こちら北京の夏は雨の日がとても多く、せみの鳴き声を聞くのがいつもの年より少ないようです。というのはわたしたち放送局は北京の西郊外といってもいいところにあり、緑が多いことから、市内よりせみの鳴き声が多く聞こえるというわけ。でも、近くの小山に上っても、往年のようなせみ時雨は聞こえませんでした。雨が多いのでせみも困ったことでしょうね。皆さんのところはいかがでしょうか?
で、今日のこの時間は、小話をいくつかご紹介しましょう。
まずはじめに「蝦蟇(がま)」です。昔の本「広古今行記」から。
「蝦蟇」
晋の時代は太元八年のこと。義興県に住む周という家に十八になる娘がいた。それは色が白くてかわいく、かなり賢く物事がわかるいい娘だった。しかし、この娘にはどうしたことか、肉と魚を食べないと気がすまないと癖があり、その上いくら食べてもきりがないというので、親も困っていたが、家にはかなりの財産があったことから暮らしに困るということはなかった。
さて、この義興県に許纂(さん)という若者がいて、ある日、町でこの娘に一目惚れし、どうしても嫁にほしいと両親に言い出す。父親は娘の家柄を知っていたので、どうか娘に嫁に来てほしいと周家に申し出た。こちら周家は、若者の人柄と相手の家の事情を知ったが、娘にはおかしな癖があるのでどうしようと思いためらった。しかし最後は黙って娘を嫁にやることにし、悪い癖が出たときが何が何でも我慢するよう娘に言い聞かせた後、式をあげさせた。
こうして娘は許家に嫁いできた。最初のうち、娘は親の言うとおり悪い癖が出そうになったときは必死に我慢したが、日がたつに連れ、どうにも我慢できなくなったのか、肉と魚を進んで食べはじめ、それもいくら食べても気がすまないという嫁入り前の悪い癖が出た。
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