これを見た許家の人々、はじめのうちはいくらか驚いたものの、悪いことをしているではないからと許していたが、そのうちに嫁のこの癖はひどくなるばかりで、挙句は家計までが苦しそうになるほどになった。たまりかねた許家は、この嫁は人間ではないと思って不気味がるようになり、もう我慢できないと嫁を周家に帰すことにした。
そして実家に帰らされるその日、この娘は馬車に乗せられ、川岸を通りかけた。そのとき娘は漁民たち岸辺で捕った魚を開いて干物にしているのを見かけ、不意に何がなんでもそれを食べたくなった。そこで慌てて馬車を止めさせて降り、干物を沢山買って馬車の中で食べ始めた。なんと瞬く間に十数尾も平らげた娘は、今度は道端で売っていた焼き魚をも沢山買いこんで食べ始めた。もちろん、この馬車は箱馬車なので、周りの人たちにはわからない。そして、食べ終わって馬車を走らせようとしたと、娘は胸元が苦しくなったので横になった。そしばらくして吐き気を覚えたので我慢しようとしたが、これはもうだめと馬車を止まらせ、慌てて馬車を降り地面に降りて道端で、いま食べたものを吐きはじめた。そのうちに娘はなんと一匹の蝦蟇を吐き出した。するとその蝦蟇はまた生きていてぴょんぴょんとどこかへ飛んで逃げてしまった。
こちら娘は、自分の口から蝦蟇が出てきたのでびっくり。その驚きのためがそれまでの吐き気も忘れたかのように止まった。すると急に肉や魚が気味悪く思われ、そのときから肉や魚を嫌うようになった。つまり、これまでの癖はなくなりったというわけ。
そのうちにこのことが許家にも伝わったのか、息子の許纂はどうしてもこの嫁を返してほしいと聞かないので、この周家の戻り娘はま許家に帰り、その後は夫婦は幸せに暮らしたという。
|