では、ここで聞いたお話しを一つ。
ある日の夜、あるところで、東北生まれの棟さん、、西北部の山西生まれの西さんと、北京っ子の京さんが、それぞれ自慢の酒を持って、蔵の中で酒盛り始めた。もちろん、三人ともそれぞれ自慢の酒を相手に勧め、三人ともいい加減に酔ってきたわい。
東北生まれの棟さんがいう。「どうだべ!東北の酒はうまいだべ!」といい、ふと見ると蔵の中にねずみが何匹かいるのをみて、すばやく一匹を捕らえ、「老白干」という持参のお酒を数滴ねずみに飲ませて放したところ、そのねずみは、部屋の中を何回か回ると酔っ払ったのかぶっ倒れてしまった。
これをみた山西生まれの西さん、「ないや、たいしたことあらへんわ。よう見てなはれよ!」と同じように一匹のねずみを捕まえると、自慢の米の酒を数滴ねずみの口の中へたらしこんで放した。するとそのねずみは、部屋を一週回っただけでぶっ倒れた。
そこで北京っ子の京さんがいう。「なんだ!そんな程度か?」
これを聞いた棟さんと西さんの2人、京さんを睨んだので、京さんはやはり近くをうろちょろしていた小さいねずみをとっ捕まえ、その口に「二鍋頭」を数滴たらしこんで放した。ところが、そのねずみ、部屋の中を3回まわったが、まだぶっ倒れない!これを見た東北の棟さんと山西の西さん、
「なんだべ!あのねずみ、昂奮しただけで、酔ってはおらんべ!」
「そやそや。京さん、お宅の酒はあきまへんな!アルコール度がジェンジェン足りまへんで!あかんわ!」とけなした。するとかのねずみ、急に立ち止まり、そばにあったレンガのかけらを拾い、大声で怒鳴った。
「猫は!!猫のやろうはどこにいる!おいらがやっつけてやるぞ!」とね。
とまあ、すごいねずみがいたもんですね。何はともあれ、「二鍋頭」という酒は、勢いがいいですからね。
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