先週は、「二鍋頭」のアルコール度が高いので、北京の人は大抵は幾らか苦い顔をして一口づつ喉を通し胃袋に収めるように飲み、日本酒のようにぐいぐいやる人はあまりいないようで、そんなことしたらすぐ酔っ払ってしまいますとまでお話しましたね。今日はその続きです。
いま言いましたが「二鍋頭」は強い酒ですから。顔がすぐに赤くなる人もいます。こういう人は少し休むか、それだけにしておくかです。また顔が赤くなっても飲み続ける人がいます。そして顔色は青みがかかってくるというのか、時には真っ青な顔してる人もいます。でも姿勢を乱さない。また、かなり飲んでいるのに顔色は変わらない人。もちろん、何かを食べて胃の負担を軽くしているのですが、強いですね。かのアメリカの西部劇では酒場でウヰスキーをオカズなしで、グイグイやってますが、すごいですね。私も含めて北京にはそういう呑み助はあまりいないようです。
時にはこんな会話が耳に入ってきます。
「もう二人で一瓶ぐらい飲んでるけど、今日は気持がいいのかまだいけそうだぜ」
「そうよな!酒はやっぱりこの"二鍋頭"だな」
「オレにはやっぱり"二鍋頭"だよ。高い酒もあるが杯で一杯飲んだら、二杯目を飲む気がしなくなるよ」
「同感だね。飲みなれているせいか、人からもらった酒は全部、またひとにあげちゃうんだよ」
「うちの親父も若いときから"二鍋頭"でよ。いまは歳だから多く飲まないけど、"二鍋頭"以外の酒には、いまでも目もくれないぜ!」
「おう!今日の酒はうまいな。もう少しのもうか?」
「私は冬も冷がいいですね。うちの叔父は熱燗で飲むけど」
「年配層は燗して飲むのか多いらしいけど、燗して飲むとどういうわけかすぐ汗をかくんだ」
「いいじゃないか。汗をかくことはもっと飲める証拠さ!」
とまあ、色々いっているようですが、皆気持よさそうにのんでますよ。もちろんこの林涛は自分が彼らを見つめているのを彼らに気付かれたりはしません。で、時にはそれに釣られ、この林涛も酒の量を少し増やしたりしますが、何しろ、家まで自転車で数キロもまだあるのでほどほどにして席を立ちます。さて、当時の酒のオカズというと、10数年前のことですよ。冷えたトマトの砂糖かけ。それに炒ったリ、煮たりしたピーナツだとか、豆腐にネギを和えたもの。胡瓜の塩降り。レバーの炒め物。腸詰。豚の頭の肉を軟らかく煮て千切りにしたもの。角切りの豚肉の甘辛炒め。「青椒肉絲」、冬ですと羊のシャブシャブ。ま!このほかに色々ありますが、あまり高級なものはありません。日本で言う居酒屋みたいな庶民的な店ですから。
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