普陀仏茶はまたの名を仏頂雲霧とも言い、一種の野生の茶で、280mの仏頂山の山上に産することから、この名で呼ばれたそうです。普陀仏茶を産する仏頂山は霧が多く、峰が連なり、冷たい水が流れ、気候は温帯の海洋性気候で、冬が暖かく夏は涼しく、一年中湿気で潤い、お茶の栽培にはとても適したところです。普陀仏茶は芽を一葉か、多くとも三葉までに摘み取らなければなりません。
製茶法も一般の緑茶よりすこし手が凝っています。ふつうでしたら、殺青、揉捻、乾燥の三つの工程で済む訳ですが、普陀仏茶は殺青、揉捻、釜炒り二青、釜炒り三青、最後に乾燥と言う五つの工程が必要です。釜炒り三青の時には、茶の葉がいくらか丸まり、少し丸くなります。
製茶の際には、釜の清潔が最もうるさく要求され、一度炒る度に釜を綺麗に洗います。N 出来上がった仏茶は、形が特別で、おたまじゃくしの形をしていることから、かつて 「鳳尾茶」、鳳凰鳥の尾のような茶「鳳尾茶」とも呼ばれていたこともあります。熱湯に浸け、茶を立てますと、茶湯はオレンジ色を帯びた緑色を呈し、茶の葉は花のようで、茶湯が喉を通りますと、清らかな香りに気が和らぎます。穀雨の前に摘み取った茶の葉を、普陀山の泉、仙人井戸の水を使って茶を立てて飲みますと、肺の化膿症や血痢の治療にもご利益があるというのです。観音様を拝み、普陀仏茶を立ててもらい、一杯飲んでから帰るという観光客が後を立たないそうです。生産量が少ないせいか、町でもあまり見かけませんし、地元でも中々買えません。観光客に供するだけで精一杯なのかもしれません
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