宋の時代に福建南部の建安 北苑に皇室用の茶園が作られます。これは福建省のお茶・宋を代表する文章家であり、書道家でもある蔡襄と言う人が福建の長官を務めていたころ、「茶録」という書をしたため、上質の竜茶と茶器を合わせて、皇帝に献上したのが始まりだと言われます。
宋の時代 皇室用の固形茶には竜や鳳凰の型がおしてあったので、これを竜鳳茶などと呼んでいましたが、時代によって、色々な名称がつけられていました。
この皇帝に献上する竜鳳茶がどのようにして作られていたかを説明しましょう。まず第一に茶摘みです。この一帯は気候が暖かいので、茶摘みの時期も割合早く、普通は二十四節季の啓蟄のころ、つまり三月の始めに始めます。茶摘みは夜明け前に行い、日が上ったらやめます。長い時間 茶摘みをしないのは茶園が荒れるのを恐れるからです。
また、茶摘みは爪で摘んで、指で摘むことはしません。指で摘むと葉の芽が温まってよくないからです。摘んだ茶の葉の最高のものを小さい芽と書く小芽といいます。この小芽から芯を取り出し、水に浸したものを水芽といいます。
第二に蒸すことです。水芽をよく水洗いしてから甑(こしき)に入れて蒸します。蒸しすぎもいけませんし、蒸し不足もいけません。
第三に搾る事です。蒸しあがった茶芽が水で冷やしてから、こしのぎにかけて水分をとり、さらに大しのぎにかけて膏を取り除きます。
第四にすることです。木のすりこぎと素焼きの擂鉢で固形茶になるいつ分づつ磨ります。磨る時には水を加えますが、そのみずを何杯加えるかで製品が変わります。その水は厳しく選んだものを使います。茶をすることにはかなり力がいるので、腕力の強い人がするようにしていました。
第五に固めることです。擂鉢から取り出した茶は指でよくよく均し、揉んで滑らかにます。そして枠にいれて固形茶に仕上げるのです。
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