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皇后の耳から虫が出た |
竜麒になった盤瓠は敵に陣に行ってくるといった |
人間の体になった盤瓠 |
シェー族の先祖は「盤瓠」といいます。「盤瓠」にまつわる伝説は地方によって違いますが、ここで私の故郷・浙江省麗水市に伝わる説をご紹介しましょう。
昔々、高辛という皇帝がいました。その奥さんである皇后はずっと耳の中の痛みに悩まされていました。三年間、痛みが続いたのち、耳から色とりどりの虫が出てきたのです。お皿に載せ、育ててみますと、ドラゴンと麒麟の特徴を持つ「竜麒」と化しました。この「竜麒」は皇帝に「盤瓠」と名付けられました。
その頃、西から少数民族が攻めてきて、皇帝を悩ませました。皇帝は詔を出し、「少数民族の首領の首をとってくれれば、三番目の娘と結婚させる」と約束しました。
「盤瓠」はこっそり少数民族の首領のところに忍び込んで、首領がお酒に酔っ払っているのを狙って、彼の首を噛み切り、持ってかえって皇帝に捧げたのです。
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盤瓠一行は広東の地に向う |
しかし、「盤瓠」は人間の体を持っていません。皇帝は、娘を嫁がせたくありませんでした。そこで「盤瓠」は「鐘の中に七日間,居させてくれれば、人間の体になれる」と皇帝に言いました。「ただし、7日間絶対に鐘を開けてはならない」と。ところがちょうど6日後。皇帝の三番目の娘は、「盤瓠」が飢え死にしたのではと心配になって、鐘を開けてしまいました。惜しいことに「盤瓠」の体はすでに人間の体に変わっていましたが、頭はまだ「竜麒」のままでした。
でも皇帝の三番目の娘は喜んで彼と結婚しました。そしてその後、三男一女をもうけ、幸せに暮らしました。
さて、その子ども達には一人ひとり苗字が与えられました。わが子の名前を皇帝から頂こうと宮廷に入ったとき、長男は大きなお皿に載せて連れて行ったので、お皿という意味の「盤」という苗字を賜りました。そして次男はカゴに乗せて行ったので、カゴという意味の籃という苗字を頂きました。そして三男の苗字を決めるとき、その日はたまたま天気が悪く、雨が降り、雷が鳴っていたので、三男には「雷」という苗字を与えました。そして長女は「忠実勤労」の「忠」から同じ発音の鐘という苗字を与えたのです。
そして今日もこれらの苗字は受け継がれています。「盤瓠」の苗字を持つシェー族はほとんどいなくなりましたが、「藍」(「籃」から変化した)、「雷」、「鐘」がシェー族の三大苗字となります。この三つの苗字の人に出会えば、その人はシェー族、というわけです。
その後、夫婦は皇帝の元を離れ、自由に暮らしたいと思って、広東省に移り住みました。その後、今の福建省と浙江省などに移住したということです。
(担当:藍暁芹)
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