茶の古木の脇に「茶樹王」と書かれた立札があります。そこにはこう書いてあり ます。「シーサンパンナー、海県は雲南省の産茶の産地として有名で、プーアール茶の里と称される。県内には1700年におよぶ茶樹の栽培の歴史がある。ナンノー山のハニ族の史伝によれば、すでに55代にわたって人々は茶を栽培してきた。これらの茶の樹はすでに1800年以上経っている」
これらの茶の品種は雲南大葉種に属し、独特の風味があり、1880年を過ぎた今日でも新しい茶の葉を採取することができる。専門的な調査の結果、中国の早期におけるお茶栽培の一例とされ、お茶の歴史研究において重要な事例を提供している。
樹の高さ5.48M 、枝のひろがりは10.9M×9.86M、幹の周囲は1.38Mとなっています。樹齢800年にもおよぶ茶樹王、それは自然に生え野生の茶樹だと思っている人達もいるようですが、それは実は誤りなのです。茶樹王は実はハニ族の人々が800年以上も育て守ってきた栽培種なのです。
シーサンパンナーにはこの茶樹王のほかに、高さ32メートルあまりもある茶樹幹の周りが3メートル近くもある茶樹など野生の大きな茶木も見つかっています。こうした茶樹の起源については長年色々な意見がありましたが、近年ようやく、椿科、椿属の植物の一種であるということで、一致してきたようです。茶の木は温帯地域の小さな葉の小葉種と熱帯地域の大きな葉の大葉種とに分けられます。ナンノー山の茶樹王の木札の説明にある大葉種とはこのことです。が、そうした小葉種と大葉種の中間に位置するものもかなり存在しています。
ところで学問的な見地からは茶樹の原産地についてはさまざまな見解があるのも事実です。ある日本の学者は調査、研究の結果、中国の西南部からインドのアッサムに渡る範囲の中間地、つまり中国の四川及び雲南地方が茶樹の原産地ではないかと推定していますし、中国の学者も、四川省南部から雲南省が茶樹の原産地だとする説を発表しています。ですから、茶樹の原産地は大体、中国の雲南省を中心とする地域だという見方に固まってきたと言ってもいいでしょう。
|