広い中国の大地で、ボランティア活動に取り組む日本の若者が数多くいます。日本語教師や看護婦、幼稚園教諭、農業、スポーツ……職種は異なるものの皆、「自分の持てる知識や技術を開発途上国の人々のために役立てたい」という情熱を抱いて活動しています。中には社会に出たての若者や中国語もおぼつかない若者もいますが、活動を通じて徐々に視野を広め、中国人との友情を育み、苦しみや喜びを味わいながら日一日と成長しています。
今度、その中の一人、西寧市世紀職業技術学校で日本語を教えているボランティア、実川真理子さんの書いた文書をご紹介します。
「夏の都」と呼ばれる青海省西寧市に来てもうすぐ9ヶ月が経とうとしています。私の住んでいる青海省西寧市は中国のちょうど真ん中あたり、中国で一番大きな湖「青海湖」で有名なところです。ここ西寧市の標高は2,275mもあります。赴任当初、4階の自分の部屋へ上がるのにハァハァ息が切れ、10歳年を取ったような感覚でした。現在ではこちらの標高にもすっかり慣れ日本の富士山の頂上でも生活をする自信があります! 西寧市は2006年に開通したラサへと続く青蔵鉄道の出発点でもあります。日本でも最近よく報道されている青蔵鉄道で西寧を初めて知った人も多いのではないでしょうか。青蔵鉄道の開通と共に外国人観光客の増加が見込まれ、日本語ガイドの少ない西寧市では日本語の重要性もますます高くなってきています。
私はこの西寧市の西寧市世紀職業技術学校の旅行ガイド科の学生に日本語を教えています。私の生徒は3クラスで約150人です。困ったことに、彼らは文法や会話などの勉強より私が授業の合間にする日本の話やジョーク、恋愛の話などが大好きなのです。自分の学生時代を思い出し、国は違えど同じ年齢の学生は好きなことも同じだなぁと感じます。オフのときは自分もできるだけ旅行に出かけます。旅行を通じて彼らに外国人の自分だからこそ感じる驚きや発見などを伝えたいと思うからです。また日本の礼儀や接客サービスの話、自分の前職の旅行会社での経験等の話をよくします。興味深そうに聞いてくれる彼らとの時間を重ねることにより少しずつ少しずつ彼らとの距離が縮まってきたことを実感します。そして、9ヶ月経った今感じることは、他のどこの学校でもなく、「ここ」だからこそ私にしかできない授業をすることが出来、教師としての私自身も彼らに生かされているのではないかと感じています。中国に来て以来、これまでいろいろな人から「中国で一番好きなものは何??」と聞かれました。そのときに私はいつも「人」と答えます。それは任地で私がいつも困っている時、助けてくれるのは他の誰でもなく中国の人だからです。文化の違いから苛立ったりすることや、ついつい授業中に怒ってしまうこともあります。だけど、いつも私の側にいてくれるのもまた、同僚や「先生!先生!」と慕ってくれる生徒であり、風邪をひいた時に真っ先に駆けつけてくれるのも友人の中国人なのです。今、私のそばに彼らがいなければきっとこんな気持ちになっていなかったと思います。感謝の気持ちを忘れず、私の周りにいるたくさんの中国人としっかり向き合い残りの任期を過ごしていきたいと思います。
平成18年度青年海外協力隊2次隊 日本語教師 実川真理子
2007年11月
「人民網日本語版」より
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