中国国家図書館の4階北側に、広さ330平方メートルの「日本出版物文庫閲覧室」があります。ここには、政治・経済・法律・文化・歴史など各分野の書籍およそ2万冊が収蔵されています。座席数は64。落ち着いた雰囲気のなか、書籍を閲覧することができます。
この閲覧室は、25年前、中国国家図書館と日本出版販売株式会社(通称:日販)が共同で作ったものです。実はここに並ぶ本は、日版が寄贈したもの。どのようないきさつで生まれた閲覧室なのでしょうか?10月25日、北京を訪れていた日本出版販売株式会社の柴田克己副社長にお話を伺いました。
|
|
セン福瑞館長と柴田副社長が会合 |
閲覧室視察中の日本出版業関係者 |
Q:「閲覧室誕生のきっかけは?」
A:「広州交易会で当社が展示した出版物を中国国家図書館に寄贈したことが最初です。日本の書籍を通じて、日本の文化やいろいろな学術を、中国や北京の方々に広く知っていただきたいと思ったのです。25年前のことですね」
Q:「図書の寄贈は、どのようにしていますか」
A:「国家図書館に日本で出版された図書のデータベースを渡して選んでいただきます。文芸、人文科学、数学などいろんな書籍があります。いろいろな出版社に協力していただき、無料、あるいは安い価格で書籍を集めて、中国国家図書館に届けています」
この図書閲覧室は、1983年にオープンして以来、今日に至るまで、毎年無償で1万冊近い新刊を寄贈し続けているそうです。累計23万8000冊が寄贈されたことになります。
現在、この閲覧室の利用者は主に、日本関連の研究を行なう学者や大学生、日本人留学生などが多いようです。実際に閲覧室を利用している皆さんにもお話を伺いました。
「私の専攻は植物環境学で、今日もその専門書を読みに来ました。開館時間からずっと居座っていますよ。大学からちょっと離れているので、あまり頻繁に来ることはできませんが、1ヶ月に1度は利用させてもらっています。この閲覧室の良いところは、新しい本が比較的多いところですね。他の図書館だと、70年代や80年代の古い本ばかりなので。ここの蔵書は本当に充実していると思います」(中国林業大学大学院生・陳元君さん)
「宿題があるとき利用しています。今は卒業論文を書いているので、卒業論文のテーマに関する本を読んでいます。日本の愛国心や道徳教育に関する本です。
|
|
|
日本語出版物閲覧室の入り口 |
約2万冊を収蔵 |
閲覧室の様子 |
ここは図書がたくさんあるのでいいですね。北京では、ここが多分1番だと思います。インターネットであらかじめ本を検索しておけば、すぐ読みたい本を探せます。とても便利です」(北京大学留学生・三多茜さん)
三多さんの話にあったように、国家図書館のホームページでこの閲覧室の蔵書を検索出来るようになっているので、家のパソコンで事前に検索しておくことができます。また、閲覧室の検索用コンピュータも利用することができます。
閲覧室の責任者の話によると、1日平均20人ほどの利用者があるそうで、特に経済や法律、IT関係の書籍の利用頻度が多いとのことです。
この閲覧室がオープンしてから25年、両国の国民の相互理解に大きな貢献を果たしてきました。柴田副社長は次のように話しました。
|
|
|
話題の書籍も多く並ぶ |
利用者の姿も |
日本人留学生も多く利用 |
「中国国家図書館に日本語書籍の閲覧室を設けていただき、教師の方々や学生さん、市民の方々にここを利用していただいています。私たちの目標が達成されているなと思います。本の寄贈のほか、国家図書館の招きに応じて、これまでに日本の出版業界関係者250人が中国を訪れ、閲覧室を見学しています。また、弊社では国家図書館の館員の方に、日本で3ヶ月間研修をしていただいています。日本の文化や出版分野の知識に関する研修です。こうした活動は、日中文化交流の促進にとって大きな役割を果たしていると思います」
中国国家図書館のセン福瑞館長も、この閲覧室の役割を次のように評価しています。
「この閲覧室の図書はいろいろな分野にわたっており、わたしたち中国人が日本文化や日本社会を理解するうえで大いに役立っています。利用者にもご好評をいただいています。日本の文献をお探しの方にとっては、国内で最高レベルの閲覧室でしょう。また、書籍を通じた日本との交流活動が25年間続いていますが、これは決して容易なことではありません。この閲覧室を通して、中日の民間交流が促進されています。特に、文化面の相互理解が促されていると思います。何物にも代えられない、重要な役割を果たしていると思います」
この閲覧室の利用可能日は毎週月曜日から金曜日まで、時間は午前9時から午後5時までとなっています。ここの図書は閲覧のみで、貸し出しできません。しかし、閲覧室の本棚に並んでいる本は、これまでの2年間で出版された比較的新しい本です。それ以前の古い本は、倉庫に保管されています。倉庫に保管されている本は、1人3冊まで貸し出しできるということです。(文・写真:任春生)
|