今、世界的にいろいろなボランティア活動が行われています。中国でも例外ではなく、さまざまな組織・団体が活動しています。なかでも有名なのが、「希望工程」というボランティアプロジェクトです。貧しい農村には、学校に通えない子供たちが多くいますし、また、学校さえない地域もあります。「希望工程」とは、そんな貧困農村の子供たちに教育の機会を提供するため、学費の寄付を行ったり、小学校を建てたりするチャリティー事業です。これは、中国青少年発展基金という団体が1989年に発足させたものです。この「希望工程」プロジェクトによって建てられた小学校は「希望小学校」と呼ばれており、いまや全国に1万3000校ほどあるそうです。
そんななか、貧困農村の現状を視察しながら、自ら「希望工程」プロジェクトに協力することができる、ユニークなツアーがあります。その名も、「希望工程」ツアー。ツアーの主催者は、北京の日本人留学生が中心となって結成している、「PIA?Smile」というボランティアグループです。
毎回ツアーでは、中国の河北省にある希望小学校を訪問し、学校の児童との交流や農家訪問など、さまざまな交流活動を行います。そして、ツアーの一環として、小学校に教育支援金と学用品などを寄付しています。このツアーに参加する際、参加者から参加費として、一人100元あまり(日本円で2000円前後)を徴収しますが、その一部を、その地域にある「希望小学校」への寄付金に充てるのです。つまり、ツアーに参加すること自体がチャリティーにつながるというわけです。
ツアーをはじめたいきさつについて、「PIA-Smile」の発起人でもあるスタッフの小山翔さんはこう語っています。「当初、私は、農村を回る趣味があって、よく農村の事情を調べたり、農家に邪魔したりしていました。そのときに、農村は、他の観光地より見るべきところがあると感じました。それに、農村の方々の情熱に非常に魅了されました。その情熱をどうにかして、日本の子達にも伝えたいと思っていました。そのときに、言葉で言うより、実際に見ていただくことが大事だと思っていました。それで、希望工程ツアーを考案しました」(小山さん)
中国で暮らす日本人留学生にしても、都市部で生活している中国人の学生にしても、なかなか農村を訪れるチャンスがありません。農村に遊びに行くことはできても、地元の方々と交流する機会も少ないです。しかし、日本人留学生の間でも中国の農村問題は関心が高いようで、毎回のツアーは満員となっており、現在、抽選で参加者を選ぶことになっています。ただ、日本人に限定しているわけではなく、なかには中国人や韓国人の学生の姿もよく見られます。
こうした交流活動を通して、参加者たちは農村の風習や現状について、理解を深めていました。寄付活動は、お金や物資をあげたら終わる、ということになりがちですが、地元の人々と触れ合いながらチャリティー活動を行う、つまりお互いの笑顔が見えるチャリティーというのは、ある意味で理想ではないかと思われます。
「PIA-Smile」では、昨年から1年に4回のペースでこのような1泊2日のツアーを行っており、この「お互いの笑顔が見えるチャリティー」にこだわっているそうです。
「1泊2日のツアーなので、初日の帰り道、子供たちに"再見(また明日)"と言うことができます。希望小学校を建てたら建てっぱなしという問題が最近発生しています。学校を作った後にもいろんな問題があります。学生が足りない、学費が集まらない・・・など。そういった問題を解決するには、"アフターケア"が必要です。そういうアフターケアのために、私たち「PIA-Smile」が動けることを光栄に思っております。こういったツアーを通じて、わたしたち、そして、現地の子供たちの心の中に暖かいものが残ります。別れるときにも、涙しながら、また会いたいなあと強く感じることもあります。そういった思い出を残すことが、私たちの活動の一番大事な点だと思います。」(小山さん)
ところで、「PIA-Smile」は、現在、こうしたツアーを実施するほか、「希望小学校」建設に協力してくれるスポンサーを探しているとのことです。実は、「希望小学校」1校を建設するためには、大体20万元(日本円で300万円あまり)が必要になります。さらに、小山さんの言ったように、建てたら建てっぱなしではよくなくて、アフターケアが重要になります。「PIA-Smile」は、こうした「希望小学校」の建設・発展のために、今後も活動を展開させていくとのことです。
ツアー参加希望、また活動にご興味のある方は、「PIA-Smile」のスタッフ・小山翔さんまでご連絡ください。
メールアドレス:sho_bj@yahoo.co.jp (編集:洋)
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