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私と北京放送・樋口政則
   2006-11-03 21:19:33    cri

[訪中のきっかけ]

 私は、北京放送を聞く会の元会員です。

 私が中国に惹かれて何度もおたずねした理由は、私が日本の文字、つまり漢字や仮名に興味をもっていたからです。その起源をたどると、どうしても中国の古典につきあたります。大学で中国語を学んでいなかったこともあって、学生時代にはあまり身近には感じていませんでした。しかし、日本の古い文字を学び、人に教える立場になったとき、たまたま恵まれた訪中の機会は、私のライフワークを決定した出来事だったかもしれません。中国で直接目にした歴史上の遺跡や遺物の印象は強烈でした。

 私の初訪中は、1984年春、北京放送局の朴世俣日語部長のご支援によって、「中国歴史探訪の会訪中団」として実現しました。中国の歴史や文学に興味をもつ若者が中国の史跡をみたり、研究者と交流する機会をもちたいという希望をかなえてくださったのです。

 前澤隆重団長、寺尾善雄副団長の尽力も大きく、北京放送を聞く会に歴史文化部会支部という文化交流を目的とした支部ができました。この訪中団は、その支部活動の最初でもありましたし、私が聞く会に入会してはじめて参加した訪中団でした。

 このときは、開封で河南師範大学の王継鱗教授、陳昌遠教授、姚瀛艇教授と主として宋代の開封の文化についての懇談会がもたれました。私は特にお願いして、日本の石碑で漢字「州」を「刀をみっつ重ねた字」に書くことが多いことの起源が中国にあるかを質問させていただいた。席上では、そのような例が中国にはないというご返事でしたが、帰国後、陳先生から懇切なお手紙を頂戴し、解明の手がかりを得たのでした。この団では西安でも、西安大学■(希におおざと)琳教授、封五昌教授との座談会(西安、人民大厦)があり、古代の西安と洛陽の文化について幅広い内容の座談会になりました。封五昌先生とは、その後しばらく手紙で情報交換もさせていただきました。

 この訪中団に同行し、旅のお世話と通訳をしてくださったのは、日語部の鄭湘さん、陳梅珍さんのおふたりでした。上海から曲阜、泰安、開封、洛陽、西安、そして上海への13日間の旅でした。曲阜では孔子ゆかりの場所に泊まり、泰山では地元のテレビ局の取材もあって、ロープウエイに乗るところが、ホテルで見たニュースで紹介されていました。発掘間もない兵馬俑にも対面しました。

[中国の思い出]

 その後、メンバーを替えながらも、ほぼ毎年、歴史と文学の見学と交流の訪中団が編成されました。中国の歴史に興味があって、まだ中国へ行ったことのない方をお誘いし、ひろく中国の歴史文化に触れる機会をもとうというのが訪中団の目的でした。経済的な事情から、そのすべてには参加できませんでしたが、「中国歴史探訪の会訪中団」には5回参加しました。龍門・敦煌・麦石山そして大同の仏教遺跡、故宮、長城、十三陵、始皇帝陵などの遺跡、白馬寺・国清寺・天童寺・大明寺・大慈恩寺・聖徳のチベット寺院・蘭亭・興慶宮跡などの古刹や史跡など、数えきれないほど史跡や博物館、研究所を訪問しました。現地の研究者との交流の機会もたくさんありました。洛陽で漢墓の中を特別に見学したり、陝西省歴史博物館をその開館直後に参観できたのも、放送局のご厚意によるものでした。

 こうした交流が可能だったのは、日語部の方々のすぐれた日本語力があったからでした。言葉の不安もなく、専門的な内容も理解することができました。

 北京復興門の旧局舎や現在の局舎にもしばしば寄せていただきました。一番思い出深いのは、専家楼食堂でごちそうになる山盛りの水餃子です。対外放送事業55周年のお祝いには、北京での式典にお招きいただき、新局舎の庭での記念植樹にも参加しました。局舎でおこなわれた交流会では曙光さんとふたりで司会をつとめさせていただき、吹き抜けの会場で習いたてのフルートも吹かせていただきました。帰国後の東京でこの模様をラジオで聞いたときは、恥ずかしさに汗が吹き出ました。

 司会といえば、日本での集いでもしばしば司会をすることになりました。張振華局長はじめ、訪日代表団が東京に来られたときのリスナーとの交流会でも壇上で身近に接する機会が何度かありました。崔玉陵局長訪日の際は箱根までご一緒しました。

 私が北京放送を聞く会の会員となったとき、東京支局長は朴世俣氏でした。当時は支局を訪問することなど想像もできませんし、中国語ができない私にとっては東京で局の方にお会いして話をすることも考えられませんでした。しかし、集いの折々に局の方がお見えになり、思いがけなくもお話しさせていただく機会にめぐまれました。

 訪中の際に、声と名前しかしらないアナウンサーの方にお会いしたり、山梨放送に研修に来られた若い局員と再会してお話したり、それぞれは一期一会の出会いでしたが、印象深い出会いがたくさんありました。

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kokusei
v 日本社会で活躍する中国人・光明日報東京支局長厳聖禾さん 2006-11-01 17:47:37
v 私と北京放送・長島敬一(下) 2006-10-26 17:54:28
v 私と北京放送・長島敬一(中)  2006-10-19 16:54:59
v 私と北京放送・長島敬一(上) 2006-10-13 16:39:19
v 私と北京放送・山下輝彦 (下) 2006-10-05 13:48:01
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