今年5月、中日両国ではこれから若い世代の交流が必要だということで、両国の高校生を派遣しあう「日中21世紀交流事業」プロジェクトが発足しました。この「日中21世紀交流事業」は、毎年両国がおよそ1000人の高校生を互いに派遣し合うという大規模なものです。中国側からは、5月の第1陣につづいて第2陣が既に派遣されており、来年3月までに合わせて1100人の高校生が日本を訪問する予定となっています。同時に日本側でも、1000人の高校生が中国に派遣されることが決まっています。
そして、この「日中21世紀交流事業」の一環として、このたび1年間の長期留学プログラムが新たに発足しました。今月7日、中国の高校生32人が、日本でおよそ1年間の留学生活を送るため派遣されました。これについて、主催側の国際交流基金会会長・高垣祐氏は「だいぶ時間をかけてよく準備されたプロジェクトです。中国と日本との間で、人と人との交流が色々な分野で行われているわけですけれども、よく考えてみますと、特に若い人たちの交流が大事です。大学生はだいぶ日本へ留学する人が増えてきていますけれども、高校生はあまりチャンスがないですね。高校生のころは、ものすごく吸収力があって、留学するとすごく成長するんですね。数日間の短期プロジェクトは今までにもあったんですが、今回のような1年間のプロジェクトは、やはり相当思い切った計画だと思います」と述べました。
1年間の留学は、高校生らにとっては非常にいいチャンスと言える一方、多感な時期の子ども達を海外へ行かせることに対しては慎重に考えた方がいい、という意見もあったようです。国際交流基金会や中国教育部など関係部門が討議に討議を重ねたうえで、今回の長期留学プロジェクトを決定したということです。
今回派遣された高校生達は、ほとんどが中学生の頃から日本語を学んでいるということで、言葉の問題はほぼクリアしているようです。ちなみに今回は、吉林省・遼寧省・山東省・江蘇省で、日本語を専攻している成績の優秀な学生を対象に選抜が行われたということです。彼らは12の都道府県の16の学校へバラバラに派遣されました。例えば、札幌日本大学高等学校、仙台育英学園高等学校、立命館慶祥高等学校、明徳義塾高等学校などです。基本的には寮生活ですが、ホームステイも経験しながら、日本の文化や習慣などを学んでいくそうです。
彼らが出発する前日、北京で壮行会が開かれました。席上、日本の中国駐在大使館・宮本雄二大使の中国語によるスピーチが行われました。その中で、宮本大使は「私は、日本外務省で40年近く働いてきました。自分の国を離れて別の国へ行くのは、非常によいことです。視野を広くすることができるからです。自分の国で見られないことを、見ることができるチャンスです。自分の認識レベルを上げることができます。皆さん、今回の留学を通して、よく日本という国を見てください。そして、日本で楽しい毎日を過ごしてください。」と述べました。それから、中国教育部国際局の劉保利副局長も彼らを激励し、「あなたがた若い人たちは、ちょうど朝8時ごろの太陽に例えることができるでしょう。未来はあなたがたの物です。そして、あなたがたの未来は世界の未来でもあります。中国と日本が隣国であるという関係は誰も変えることができません。両国は理性的に、両国の問題に対処していかなければなりません。わたしは、あなたがたが、理性的に両国の関係を処理していってくれると信じています。そして、今回のプロジェクトを通じて、両国の友好関係をさらに発展させてくれると期待しています。みなさん、日本に行って日本の先進的なものを勉強するだけではなく、中国のすばらしい伝統や文化を日本の方々に紹介して帰ってください」と語りました。
日本と中国のあいだでは、誤解や偏見も多く見られます。だから、このようなプロジェクトの実施によって両国の人民がお互いのことを理解するいいきっかけになればいいと思います。
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