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民間に咲く友好の花
   2005-09-07 18:37:41    cri

55長年、お世話になった神宮寺敬ご夫妻(前列右ニ、右一)が特別ゲストとしてレセプションに出席。前列左一はUTYの小西専務

 1984年、中国のとう小平氏が日本の中曽根康弘首相と会談した際、「中日関係を長期的な視野の下で発展させ、まずは21世紀、そして22、23世紀へと、中日友好の方針を永遠に貫くことが必要である。この重要性は、われわれ両国間のあらゆる問題がもつ重要性を上回っている。」と話したことがあります。 

 かの戦争が終了し60年経ったいま、中日間には色々な問題が出てきましたが、こんなときに、鄧小平氏のこの言葉を思い起こさせるのです。

 国は国民一人一人からなるものです。中日関係を発展させる最も効果的な方法は、やはり原点に戻り、両国民の間の交流を拡大させ、相互理解を深めることなのではないでしょうか。これまで、中国と日本が辿ってきた友好的な発展の道のりで、無数の人が地道な努力を払って、中日友好に尽力してきました。

 神宮寺敬さんは今年85歳。山梨県甲府市に住んでいます。1966年、『人民中国』の招待で初めて中国を訪問したことをきっかけに、中国と深い縁を結ぶようになり以後、ほとんど毎年のように中国を訪れ、これまで、50数回も中国を訪問しているのです。

 そして、中国を愛する気持ちを一番身近な人に理解してもらうために、1970年代から、毎年、奥さんと一緒に中国を旅するほか、子供たちが中学三年になったら、中国に行かせることを心がけていたとか。奥さんの綾子さんはこれについて、「私は1969年、初めて中国に行きました。そのときの中国のスローガンは『人民に奉仕せよ』ということでした。すばらしい言葉だなあと思って、それで、中国旅行から帰ってから、その言葉を守って、下宿の経営を始めました。」

 下宿経営を始めた神宮寺御夫妻は、そのうちに、身元保証人を担当し、中国からの留学生や研修生を受け入れるようになりました。更に、北京放送や人民中国など中国国内の日本語の人材に日本留学のチャンスが少ないことを痛感し、自分の親友でもある当時のテレビ山梨の中山典村前社長との合意で、毎年一名の中国人女性の研修を引き受けるようになりました。こうして、これまで、合わせて21人が神宮寺さんの家でホームステイしながら、テレビ山梨で半年間研修することができたのです。神宮寺さんと奥さんはこのことについて、「私自身が楽しみにして、中国の研修生や子供を扱っております。どういうことかと言うと、中国の社会情勢をそのまま考え方として持ってくるような気がします。」

 「娘以上に親しみがあります。一緒に生活している中で、いろんなことが分かります。食べるものとか、そんなに変わらないと思うんですよね。でも、女の子たちはおしゃれしたいだろうし、そういう点ではずいぶん変わったなあと思いました。最初の子はおしゃれは全然しませんでした。それは20人目ぐらいになると、ずいぶんガラット変わって、おしゃれをするようになりました。そのへんもなんとなく楽しみにしております。」

 1980年代から、北京放送のほとんどの女性アナウンサーは山梨の神宮寺さんの家に下宿し、テレビ山梨で研修したことがあります。わずか半年間ですが、私たちにとっては、貴重な勉強のチャンスであり、また、普通の日本人の家に住むことによって、日本の風俗習慣などを理解する絶好のチャンスでもありました。

 16人目の娘として山梨で研修していた傅頴アナウンサーは、山梨での研修生活にはたくさんのいい思い出があると次のように話しました。

 「神宮寺さんのお宅にお邪魔した半年間には、ほんとうに色々忘れられない思い出があります。その中で一番印象深いのは、赤飯なんです。私はUTY・テレビ山梨へ出勤する初めての朝、奥さん、つまり、私たちが呼んだおばさんが早起きして、お赤飯を作ってくれました。おばさんの手は数年前けがをして、もう料理なんかは普段作っていないですけど、その日だけは早起きしてくださって、お赤飯を作ってくださいました。その味はすごく中国の味に似ているなあという感じでした。UTYの女の子に会ってその話をしたら、『あら、それは家族としてお祝いする時の料理なんですよと教えてくれました。本当におじさん、おばさん、どうもありがとうございました。」

 ところで、去年以来、中日関係はいくらか悪化しているように感じますが、中日両国の有識者は原点に戻って、中日関係について再び考え直しています。似たような顔立ち、共通の漢字を使うという中国人と日本人にとって、相手に考えなどはたぶん自分と同じだろうと思い込んで付き合うことは、失敗を招く理由の一つなのかもしれません。

 1986年、日本に渡り、今は東洋学園の教授をしている朱建栄氏は、「日本に来た当初は見るものすべてが新鮮で、日本社会と中国社会、文学や顔の形、生活習慣など見た目では似たところはありますけれども、中に入れば入るほど、二つの社会は違うものであるということを実感しました。本当は、表面上似ているものの裏には、二つの民族のかなり異なった歴史の発展と思考方法という背景があるので、先入観を持って相手を見ると、往々として間違いを起こしてしまいがちだということです。真の相互理解というものは、双方とも本国固有の物事の見方と思考方法を捨てて、相手の民族の歴史や文化や考え方に対する真剣な理解、勉強から始めるべきだということを、私は日本に来てから強く感じました。」

 神宮寺さんはこんなエピソードも語りました。

 「私の手落ちだった点もあると思うんですが、放送局のほうから最初に引き受けたときはなるべく皆さんに日本の生活そのものを見せてあげてくださいということでした。その当時は、私の家のお風呂は昔のお風呂で、下から火を焚いて沸かすお風呂で、シャワーもありませんでした。一番目の研修の子は帰った後で、北京で再会したとき、『お前、一番困ったことは何だ?』と言いましたら、お風呂に入れなかったということを率直に言ってくれました。今度、北京にいる友人にその話をしましたら、やはりそれは無理だよと、中国の習慣からすると、やはりおじさんとおばさんが入ったお風呂に入りなさいということは、それは中国の生活習慣は違うから、それは無理だよという話をされまして、今度、二番目の時からは、シャワーをつけてガスで自動的にお湯のシャワーが出るような設備をしてありました。私は中国のことをよほど理解しているつもりでしたが、やはり風俗習慣というのは、そう簡単に目で見て、日本の私達はこれはいいからと思っても、それはなかなかうまくそうは行きません。やはり、中国と日本との関係はそういうことをよく知って付き合わないと、自分の独りよがりで、こうすれば喜ぶであろうと思うようなことは、やはり習慣あるいは思想というものは、しっかり、お互いに勉強して付き合わないといけないというのは、国と国との付き合いでも勿論そうですし、個人の場合でも、そういうことが押し付けになってはまずいということが分かりました。」

 このようなカルチャーショックを受けたのは、正直に言って、引き受け側の神宮寺さん一家だけではありませんでした。14番目の娘として、神宮寺さんの家に泊まった寥麗アナウンサーは、今でもはっきり覚えていることですが、テレビ山梨では新入社員の女性は職場の男性スタッフにお茶を入れる習慣になっているようです。最初は「えっ」と思ったのです。なぜ女性は男性にこんなサービスをしなければいけませんの?男性が職場の女性にお茶を入れることこそ、紳士で思いやりのある男だと女性に好印象を与えるのではないでしょうか。こういう男こそ女性に持てる世の中にしなければと色々疑問を持っていました。

 最初はなかなか慣れませんでしたが、一応「郷に入れば郷に従え」という覚悟でほかの新人の皆さんと一緒にお茶を汲みました。やっているうちに楽しくなり、男性スタッフも「ありがとう」と優しく感謝の言葉もいただきました。

 今振り返ってみれば、あのとき茶室で新人の皆さんとお茶を汲みながら楽しくおしゃべりをした時がとても懐かしく思います。

 中国両国は本当に個人と個人でもそうですし、国と国の関係もお互いの相違点を認識し、場合によってはぶつかりながら、真の理解と友好は徐々に生まれてくるのではないでしょうか?神宮寺さんと奥さんは中日関係について、次のように語っています。

 「私は日中友好協会にも入っていますし、個人でもそう思いますが、日本と中国との関係がいい時には、両国ともに発展していると、日本と中国の間がまずいときには、やはり両国ともにうまく行かないと、お互いがやはり仲良くするということが、両国の発展のために必要だと思います。今はたまたま関係が悪くなっているような感じがしますけれども、これは長い目で見れば、本当の一時期であって、日本と中国は必ず友好的な付き合いになると、それは日本のほとんどの人、中国のほとんどの人がそういうことを願っていますから、私はその力のほうが強いと思いますから、必ず仲良くなると思います。」

 「私は女性として、中国と日本の婦人がとにかく平和で戦争のない、そういった願いを常に持っていますので、仲良くしたなぁと思います。」

 1974年から1979年まで、中国の広州中医学院に留学していた神宮寺さんの二番目の娘さん伸子さんはこう話しています。

 「私が行った時期は、ちょうど文革の時期だったので、とても素朴で、楽しかったですね。…今度はもう一回中国語を思い出しながら勉強してみたい、できれば、仕事したいとか。  日本と中国という意識がなく、自然に交流ができるようになったらいいなあと思います。同じアジアだけど、やはり違う民族でもあるんだと思いますよ。でも、お互いを尊重しながら、皆のことを考えていけるようにしてたらいいなあと」

 神宮寺さんご夫婦は、毎年必ず一回中国を訪れます。その目的は中国の娘達と会って話すことにあります。そして、「娘」として可愛がられた私たちは、毎年、お父さんとお母さんが来るのを楽しみにして、北京放送での仕事を頑張ってやっているのです。

 中日両国の民間交流には、以上のように私たちを感動させることがいくらでもあると思います。民間に咲き誇るこれら美しい友好の花は、中日両国の友好を願う人々の心を彩っているのです

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