中国において漢族の人口は総人口の大多数を占めていますが、中国西南部の貴州省東南部ではミャオ族、トン族など少数民族が地元総人口の80パーセント以上を占めています。ここを訪れれば、北京、上海など大都会と違う独特な風景を楽しむことができます。
貴州省東南部地区は周囲を山に囲まれており、昔、ここを訪れるのは非常に不便でしたが、現在では、空港などインフラ施設が整備されて、交通の便が大幅に改善されました。もちろん、山奥の村に入れば、長距離バスに乗り、数時間にわたってでこぼこの道を走るのが現実ですが、苦労してたどり着いてこそ、この地で出会うものの価値の大きさを実感するはずです。
肇興は4000人あまりが居住するトン族の村で、山に囲まれた盆地にあるこの村には小さな川が流れています。車に乗って肇興を訪れると、山の中の延々と続いている自動車道から、山中に点在する独特な建築・鼓楼のとがった屋根を見つけられるでしょう。それがトン族の村の目印です。
トン族の鼓楼は屋上に大きな鼓が置かれるため名づけられたのです。トン族の村では村長が村人たちに重要な知らせを伝える時、必ず鼓をたたき、人々をこの鼓楼に呼び集めます。鼓楼はトン族の村人たちが集会し、村の指導者が討議する場所であるだけでなく、歌好きなトン族の人々が子供たちに歌を教えたり、若者たちが歌を歌う舞台となります。
鼓楼はほとんど木造で、塔の形をした建物です。低いものは3階か5階立てで、高いものは15、16メートルのもあります。しかし、これほど高い木造建築で金属の部品が一つもなく、釘さえも使われていないのに、非常に丈夫です。また、鼓楼を建てる時、設計者は設計図を書かなくても上手に建てられます。また、この鼓楼を建てる場合、その階数は必ず奇数と定められるということです。
鼓楼のほかにトン族の橋の建築も独特で美しいです。これらの橋はほとんど屋根つきの橋で、近くで見ても遠くから見ても素晴らしいです。また、橋は雨避けや風避けにもなるため、「風雨橋」と呼ばれています。
緑の山に点在するトン族の鼓楼や風雨橋それに川の両岸にぎっしりと並んでいる民家などは見ているだけ本当に心が穏やかになる風景です。
もし、肇興や貴州省東南部のほかの地方に訪れれば、必ず、地元の人々の素朴な優しさに触れることができるでしょう。見知らぬ人がここを訪れても、まったく疎外感を感じることなくかえって暖かさを感じるのです。
(翻訳:huangjing)
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