唐の時代の詩人、李白が「早発白帝城(つとに白帝城を発す)」でこのように詠んでいます。
両岸猿声啼不住 (両岸の猿声啼いて住まざるに)
軽舟已過萬重山 (軽舟已に過ぐ萬重の山)
この詩の意味を簡単に説明しますと、「つぎつぎに猿の啼き声が聞こえ、それを聞いている間に、軽い小舟は萬重の山々を通りすぎていく』という意味です。
三峡クルーズは、こんな千年前の詩人の旅を彷彿とさせる優雅な旅ですが、もちろん、交通機関は昔の小船と違って、安全なフェリーに乗って、のんびりしたクルージングとなります。
「三峡」とは、名前の通り、三つの峡谷からなっています。瞿塘峡(くとうきょう)、巫峡(ふきょう)と西陵峡(せいりょうきょう)の三つです。全長、およそ200キロ。そのうち、深い谷の区間は90キロの長さです。三つの峡谷はそれぞれ違う風情があります。
瞿塘峡は三峡の中で、最も「雄大な」峡谷です。刀で切り取ったような絶壁が連なり、雄大さ・壮観さで知られています。また、巫峡の特長と言えば、その麗しさ・美しさです。両岸には「十二峰」と言われる十二の峰が並び、白い雲が山間を漂い、まさに神秘的な山水画の世界です。そして、三峡の中で、最も「険しい」と言われるのが西陵峡です。昔から三峡一の難所でした。三峡クルーズを体験した山東省からの観光客、李さんの話です。
「僕は重慶でフェリーに乗りました。フェリーがゆっくりと流れを下っていく感じが最高です。船のデッキやテラスなどで、高い山や峡谷、村落などを見て、まるで映画のシーンのようで感動しました。」
話に聞くだけでも、十分感動的ですね。ところで、先ほど紹介した李白の「早発白帝城(つとに白帝城を発す)」という詩ですが、白帝城というのは紀元200年ごろの三国志ゆかりの場所です。
白帝城は、昔から、軍事の要衝でした。劉備が臨終に際して後事を諸葛孔明に託した所として有名です。それから、荊州 (けいしゅう)とか、赤壁などもあります。フェリーに乗りながら、三国志ゆかりの場所を巡るのもいいですね。
中国の旅行社は三峡下りの旅とか、三国志ゆかりの名所めぐりなど、様々なコースを組んでいます。興味のある方は、事前にチェックしてみてください。
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