杭州市街の西にある霊隠山は仏道修行者の魂が隠れているとして「霊隠」と呼ばれるようになりました。
霊隠山の麓に位置する霊隠寺は中国十大禅宗古刹の一つで、その歴史は二千年前に遡ることができます。326年にインドの高僧・慧理によって建立され、最盛期の10世紀頃は3,000人以上の僧侶がいました。境内に中国最大の木彫り釈迦弁尼の座像が置かれています。
霊隠寺は、全盛期の五代呉越国時代には9楼18閣27殿をありましたが、その後、度重なる戦火に焼かれ、現存するものは清代末期に再建されたものです。
谷川を隔てた寺の向こう側にある高さ208mの飛来峰も興味深い場所です。天竺から飛来してきたと慧理が語ったことからその名を付いたというこの山には、幻想的な洞穴が72以上あると言われています。その洞穴内には五代から宋、元の時代まで(10-14世紀)に造られた石刻像が338体あります。阿弥陀、観音、大勢至の三尊小像や廬舎那仏会、多宝天王弥勒坐像などがあり、特に宋の時代に造られた石像は、唐以後中国北方の石窟芸術が衰えた後の石窟群として貴重な資料となっています。
境内の主な建物は天王殿と大雄宝殿です。「雲林禅寺」と書かれた大きな額が掛けられた天王殿には、弥勒菩薩像と四天王像、そして険しい表情の韋駄天像が安置されています。この韋駄天像は南宋時代に造られた木製の像です。大雄宝殿は中国の単層重檐式建築では最高の33.6mの高さを誇っています。内部の金色の釈迦如来像は19.6Mあり、中国にある座仏として最大クラスのものです。その他、珍しいイルカに乗った観音像なども安置されています。
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