A. 四川料理
四川料理は、雲南、四川地方など中国の内陸部で発達してきた料理です。この地方には大きな盆地があり、豊富な農産物に恵まれています。内陸性気候で寒暑の差が激しいこの地方は、食物の保存や貯蔵法が大変発達しており、日本で有名な搾菜(ザーサイ)も、この地方の特産です。また、その気候に合わせて調理に変化をもたせるため、香辛料や薬味を多く使用しており、濃厚な上に刺激の強い味付けが特徴となっています。
B. 上海料理
上海料理は、上海とその周辺の蘇州、杭州、揚州など中国東部に位置し、海に近く川や湖が多い地域で発達してきた料理です。新鮮な魚介類が豊富であり、中国の米の大生産地でもあるこの地方には、海産物のほかに、米を材料とした料理が多いのも特徴です。また、国際貿易港として有名な上海の料理には、国外の優れた調理法が取り入れられており、素材の色合いを考慮した盛り付けもその一つです。上海料理の味付けは、その地域にもよりますが、比較的濃く、油っこく、砂糖の使用が多くて甘みの強いのが特徴となっています。
C. 福建料理
福建料理は、上海近くの中国東部福建省を中心に発達してきた料理です。この地域は、海や川に面しており、新鮮な魚介類が多くとれる場所です。また、台湾に隣接しており沖縄とも近いため、この味が海を渡って伝えられ、沖縄料理に多くの影響を与えたとも云われています。福建料理の味付けは、タケノコを醗酵させたものや、小魚エキスなどの独特の調味料が加えられており、あっさりとした素材の味わいの中に、それらの強い風味が加えられているのが特徴となっています。
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