中国西南部の雲南省にある古城ーー大理は600年の歴史を持っています。今でも、いたる所に昔の建物が見られる古城の様子のままですし、住民の多くは昔の風習に従って暮らしています。時代の移り変わりによって、古城も少しずつ若返ってきています。こうして、昔と今の要素が大理で共存しています。
雲南省西部に位置する大理古城は面積6平方キロメートルに及んでいます。古城の隣にある蒼山から見下ろすと、古城は碁盤の目のようで、城門からメインストリートが南北を貫いています。その城門から中に入ると、騒がしい現代都市とは別世界にいるような感じがします。清らかな渓流や古城の奥へ導く石畳の小道、玉石で造った庭の壁、そして青い瓦一色の屋根、どれも素朴で奥ゆかしい雰囲気が漂っています。
大理は少数民族のペー族の人々が集まり住むところの一つですが、その住宅は漢民族の庭園を中心に配置する理念を取り入れ、地元の気候や暮らし方、美意識と結びついた「三房一照壁」という作り方で造られています。「三房一照壁」は一つの庭に南向きのひと棟とその両側の棟、また、その向かい側に壁があるという建築構造です。午後から夕方になると、日がこの壁に差して、庭全体がその反射で明るくなります。それで、この壁は照壁だと呼ばれたわけです。このようなデザインは日の光を十分利用するためです。住宅のデザインを工夫するだけではなく、みんなといっていいほど、住宅の周りに花や草を植えていて、花園のような住宅も少なくありません。
大理の人々の間では、「三道茶」を飲む習慣があります。この「三道茶」は古代大理の国王が尊いお客さんをもてなすときの礼儀だったそうで、後に民間に伝わって、今でも続いています。「三道茶」というのは、三回お茶を飲むということですが、初めは苦いお茶で、二回目は生姜や蜂蜜、胡桃などを入れた甘いお茶、三回目は回転の回に味と書く「回味茶」という山椒などが入ったお茶です。最初は苦い、その次は甘い、最後は後味を味わうことですが、その中に深い哲学的な意味が含まれています。それは「人間の暮らしが最初はつらくても、最後はきっと幸せになる。幸せは簡単に訪れるものではないので、大事にしなければならない」という意味です。また、「回味茶」は常に自分の人生を反省することです。
また、大理では美味しい食べ物がたくさんあります。例えば、発酵した牛乳を干して作った「烤乳扇」やもち米で作ったピンポン玉の大きさの粽の串差し「棒棒粽」など、これらを食べ歩くだけでお腹いっぱいになります。
気候も住まいも食べ物も、色々と恵まれたので、外国人まで集まってきたわけです。大理古城には東から西へ向かう1000メートルほどの石畳の道がありますが、この護国路という道の両側に西洋情緒の溢れるレストランやカフェー、バーが並んでいて、「洋人街」と呼ばれています。ここでは、世界各地から来た外国人がここで観光したり、長く住んでいる人もいます。
最後に大理のお土産ですが、何より、大理石です。これが一番有名です。
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