黄果樹の滝は貴州省の省都貴陽市から車で一時間半ほどで辿りつける黄果樹の滝景観区にあります。区内には、地表にある滝だけで18ヵ所もあります。その中で、黄果樹の滝は最も大きくて、その周辺の滝も規模や形が様々で、まるで真珠のネックレスのように黄果樹の滝を際立たせています。滝の落差は74メートルで、20階のビルの高さに相当します。滝から五、六十メートル離れた場所に立っても、びしょびしょになります。
黄果樹の滝の名前はいつも観光客に疑問されますが、食べ物の黄果だと思う方が多くいらっしゃるのではないかと思われています。実はガジュマルの一種、黄葛ガジュマルに因んだ名前です。この一帯は海抜が低く、気温が高いので、ガジュマルの生長には適しています。そのうち、最も多いのは黄葛ガジュマルです。また、地元では皮が黄色で、味がすっぱい、「黄果」というみかんのような果物が多くとられます。地元の方言では、ガジュマルの「黄葛」と果物の「黄果」は同じ発音なので、地元の人は黄葛ガジュマルに因んだ滝の名前を果物の黄果、黄果樹と呼ばれるようになったのです。
世界で有名な瀑布や滝と比べれば、黄果樹の滝は水の量や規模では絶対比べ物にならないと思いますが、その見所は観光客が裏の山の中の洞窟に入って、裏から滝を見ることができることです。その洞窟は滝の中ほどにあり、長さ100メートル余りで、滝と並行しています。洞窟には6つの窓のような穴があるので、その穴から近くで滝が見られるほか、手を出して触ることもできます。裏から外を眺めると水の世界で、滝が水の暖簾のようです。洞窟を通った時、あの有名な『西遊記』の舞台である孫悟空が住むところにいるような錯覚をしたと言った観光客もいます。実はその滝の裏に入ることも、その洞窟を通ることも、かなり勇気が要ります。しかし、その裏にしか堪能できない絶景があります。それは各穴から見られる虹です。七色が揃っているほか、場所の移動にしたがって、見られる景色も少しずつ違います。
黄果樹の滝は溶岩地形にあるので、水が漏れる場所が多く、年中豊かな水量を保つことは難しいので、今の黄果樹の滝は半年間天然の水で、半年間人工による水の調達で維持しているのです。その渇水期は毎年の11月から翌年の4月までで、観光には夏から秋は最適です。
黄果樹は貴州の少数民族が集まる地区にあるので、滝を堪能してから、周りの少数民族の文化と触れ合うこともできます。滝から西へ8キロ離れた晒甲山には天然の赤色の崖の壁があって、その上に壁の色よりやや濃いめの文字が刻まれていますが、その文字は「紅崖天書」と言い、変わった形をしていて、未だ読める人がいないと言われています。そして、滝から北へ8キロ離れた場所に、「蝋けつ染めの里」と言われる「石頭寨」という村があります。そこで地元のブイ族の娘と自作の染物を作ることもできます。
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