五輪の表彰台で花束を振りながら観客に挨拶する選手たちの姿が輝かしいです。その(1)花束に開催国は独自のメッセージを託しています。1996年の(2)アトランタ五輪の時はがひまわりで、2000年の(3)シドニー五輪はオーストラリアの国花アカシア・ピクナンタ (英語名:ゴールデン・ワトル) で、2004年の(4)アテネ五輪はオリーブでした。北京五輪の場合は、国花ではないものの、世界で親しまれているコウシンバラで、色は「中国の紅」と言われている赤色です。
中国原産のコウシンバラは中国の十大花の一つで、中国では北京を含む50あまりの「市の花」に選ばれています。夏も冬もなく隔月に咲くので、(5)「月季」と名が付いています。赤、ピンク、黄色、白などの色がありますが、五輪の花束に選ばれたのは「中国紅」という赤色の花です。というのは、中国人にとってこの色は、「元気や活気に溢れるとともに、めでたい、幸せ、快楽などをもたらす」(6)縁起のいい色だからです。
「月季」とともに花束になる花卉には、真っ赤な実を付けている「火龍珠」があります。実が赤いうえ、名前に「火」がついているので、花束や花輪の材料として好かれています。「火」という言葉は、中国語では、「隆盛、繁盛」などの意味としても使われています。
このことから、北京五輪の花束の名前は、赤い「月季」の「紅」の字と、「火龍珠」の「火」をとって、(7)「紅紅火火」になり、「めでたい、幸せ、快楽、隆盛、繁盛」の意味が込められています。「紅紅火火」も、普段商売や仕事の繁盛、順調な暮らしを形容するときに口にする言葉です。
花卉の本数や種類は、縁起のいい「9」と「6」からなっています。種類はバラを含めて6種類になっています。メインの月季の本数は9本で、ほかの五種は花卉は6本になっています。
「9」という数字ですが、発音は中国語では「久」の発音と同じです。このことから、「9」は「永遠、長寿」を表す縁起のいい数字です。これにちなんで中国の敬老の日は9月9日に定められています。「9」は、また頂点となる「10」まで後一歩の数字なので、古くから「止まることなく生息する、前向きに進む」という意味が与えられました。「6」の場合は「仕事や暮らしが順風満帆である」という意味につながっています。大学統一試験の受験生や新しくスタートする人などへの最高の祝福は(8)「順風満帆」です。それを表すものとして6種類の果物のプレゼントを贈る、6種類のおかずをいただくなど、「6」の付いたものが好まれます。五輪という盛大なイベントでも、「9」と「6」は生かされました。
9本の「中国紅」の月季や6種類の花卉でできた花束「紅紅火火」は、「世界各国からの選手が前向きに頑張って欲しい」という励ましや、「いつまでも元気で、順風満帆でありますように」という祝福が秘められているのです。
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