中国の(1)少数民族の中には、このような民族があります。
先祖は炎帝です。(2)「炎帝」は、自分の部族のために多くの役立つことをやりました。たとえば、食料を確保するため、耕作を教えました。人々の病をなおすため、自らあらゆる薬草を食べて、1日79回中毒になったことがあります。また、マナーを身につけさせるため、楽器を作り人々に演奏を教えました。後に、「炎帝」は(3)黄帝との戦いの中で敗れたたため、その部族の一部は黄帝の部族と合併され、「華夏族」を生みました。この「華夏族」は漢民族の先祖とされています。その子孫は、今も「炎黄子孫」と誇っています。さらに、この民族は、中国を初めて統一した秦の始皇帝も生みました。また、中国人に親しまれている歴史上の人物で、洪水が氾濫する川を治し、民に安定した生活を与えた人・「禹」もこの民族の出身です。
今は、この民族は、主に四川省の北部に集まり住んでいます。戦火に巻き込まれた故郷から遠く逃げのびて、やっとここに定住できたと言われています。ほとんど標高数千メートルの山の上で暮らしています。ここの山々は険しく、川の流れが激しく、水害が多いという厳しい面がある一方、九サイ溝のような緑に包まれ、雪山が見えるという景色に恵まれるところです。そして、パンダの生息地でもあります。
唐の時代、ここは、チベットとの境になっていました。唐とチベットの間で戦争が起きるたびに、ここは、双方の争いの場となっていました。このため、ここの建物は、防衛の色が強く、別のところで見られない様式になっています。村の中心になる建物は、(4)トーチカのような形になっています。トーチカは各家に、また家と家は地下道でつながっています。戦争のとき、トーチカから攻めてくる敵を見つけたら、素早く(5)地下道を通じて各家に連絡することができ、迅速に安全なところに移動することができました。これらの建物は、近くで取れる石や土、木が使われています。一階が完成してから、半年経ってから二階を建て始めます。4階建ての家を建てるには、少なくとも2年ぐらい掛かるということです。
山の麓から眺めますと、数々の「トーチカ」は雲まで届くように見えます。このことから、この民族は「雲の上で暮らす民族」と言われています。しかし、5月12日に起きた四川大地震で、そのトーチカの多くが倒壊し、多くの住民が犠牲になりました。文化は大きなダメージを受けました。
この民族は、3000年の歴史を持ち、今日の漢民族の構成の一部だと言われる(6)チャン族です。
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