今年の2月、中国の中南部では、降り続いた雪による大規模な氷雪災害が発生しました。中でも、湖南省のシン州で発生した道路の渋滞は、回りの省にも影響を及ぼし、被害が大きくなりました。本格的な救援活動がまだ始まらない段階から、(1)中国人民ラジオ局は、現場と連絡を取りながら24時間体制で(2)生放送を始めました。これは中国のラジオにしても、テレビにしても、初めてのことでした。
この放送によって多くのリスナーが、携帯電話や(3)ショートメールを使っての報告、地元記者の現場リポートなどを通じて、被害状況を(4)リアルに知ることができました。
当時、私は毎朝、朝食を準備しながら、この番組を聴いていました。丸一日渋滞に巻き込まれたトラックの運転手の疲労、途中で止まった列車の乗客の焦り、道路が雪で不通になった山奥の住民の停電による不安など、現地の肉声で感じることができました。
そして、ラジオ局に送られたメールは、肉親の安全確認に集中していました。アナウンサーがメールを読み上げることによって、遠く離れた場所に働きに出ている娘が電話が不通になった被災地の親の無事を確認できるようなケースが多かったです。
さらに、放送で被災地の最新情報を把握した関連部門は、迅速に対応措置を取ることができ、専門家による安全指導も行われました。地元の救援活動の展開のためにも、重要な情報を提供しました。
「当時の交通省(現在の交通運輸省)を含む政府機関はスタジオにホットラインを設けて、シン州を含めた現場の情報を得た。そして、素早く対応した。この番組に参加できて、本当によかったと思う。こうした形式の放送は、これからきっと増え続けていくと思う」と、番組の編集者の友人がしみじみと教えてくれました。
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日本の救援チーム、四川省に到着 |
日本の救援チーム、四川省に到着 |
今回、(5)四川省で(6)大地震が起きた日から、中央人民ラジオ局はもちろん、国営のCCTVも生放送を始めました。家やオフィスだけでなく、通勤で利用できるバスに取り付けられたテレビを通じて、人々は、寸断された道路、崩壊した家屋、(7)瓦礫の下敷きになった人々を救助する救助隊員の姿、治療に当たる医師たち懸命さなどを見ることができました。画面とともに、被災地の住民と一緒に悲しんだり、喜んだりする人は、少なくないでしょう。
氷雪災害をきっかけに始まった生放送で、突発事件に対応する中国のメディアの姿勢は大きく変わりました。このことから今後、中国はメディアのあり方、位置づけなどを見直すのではないかと思います。
(朱丹陽)
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