4番目は、中国の初月探査衛星「嫦娥1号」(cháng é yī hào)です。衛星を「嫦娥」と名付けたのは、中国では、「嫦娥」という月の神様がいる言い伝えがあり、老若男女に知られているからだと思います。中国の伝説では、「嫦娥」は、旱魃から民衆を救った英雄の妻です。夫から預かった不老長寿の薬を、悪人から守るため、やむを得ず飲んでしまい、お月様のところへ飛ぶことが余儀なくされました。民間ではこれを「嫦娥が月に飛ぶ」という意味の「嫦娥奔月」と言い、旧暦の8月15日、つまり中秋節に、月餅を食べながら、彼女を偲びます。このように「嫦娥」には中国人のロマンが込められているのです。宇宙を飛ぶ衛星の姿を見上げながら、「嫦娥1号」の姿を思い描いている人は少なくないと思います。月探査衛星「嫦娥」の打ち上げに成功したことを、「中国人の1千年の夢がかなった」という表現には、こういったバックグラウンドがあるのです。
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